アマゾンがフードデリバリーサービス「クラブハブ」と提携

アマゾン(AMZN)がジャストイート・テイクウェイと提携し、米国のプライムユーザーがフードデリバリーサービス「グラブハブ(Grubhub)」の1年会員になることができるようにする契約を結びました。

オランダに拠点を置くジャストイートは7月6日に声明を発表し、今回の取引の条件としてグラブハブの2%の株式を取得するオプションをアマゾンが持つことになることを明らかにしています。アマゾンは、新規顧客の獲得に重点を置いた業績条件により、グラブハブの株式総数を15%まで増やすことができると、ジャストイートは述べています。

今年に入ってから67%以上下落していたたジャストイート(TKWY.Amsterdam)の株価は、7月6日のアムステルダム市場で13.86%上昇し15.64ユーロ(16.03ドル)になっています。

この提携により、米国のアマゾン・プライム会員はグラブハブが運営する一部のレストランからの配達料が無料になる予定とのことですが、この契約により、グラブハブ+の会員拡大が見込まれ、2023年以降はグラブハブの売上とキャッシュフローを増加させる見込みであるとジャストイートは述べています。

グラブハブは1年前、ジャストイートに73億ドルで買収されました。コロナ時代の食事宅配ブームが冷え始めた矢先のことで、タイミングとしては最悪とも言え、どうやらこの買収は失敗に終わったようです。

ジャストイートはグラブハブの買い手を探し始めており、見つかったとしても買収額よりかなり低い金額で売却することを強いられると見られます。グラブハブはライバルのドアダッシュ(DASH)やウーバー(UBER)にアメリカの市場シェアを奪われ続けており、調査会社ブルームバーグ・セカンド・メジャーによると、2022年の米料理宅配サービス市場におけるグラブハブのシェアは13%で、59%のドアダッシュ、24%のウーバーにかなり水をあけられた業界3位の地位に甘んじています。

しかし、通常月額9.99ドルかかるグラブハブ+の会員に、アマゾン・プライムの会員なら無料で登録できるという今回の提携で情勢は一変しそうです。

ゴールドマン・サックスは、アマゾンの米国プライム会員数は8200万人であり、現在のグラブハブ+の会員数が250万人であることを考えると、この数字はグラブハブにとっては魅力的であると評しています。

ニードハムのアナリスト Bernie McTiernan氏はリサーチノートの中で、これはドアダッシュとウーバー の両方にとって「ヘッドラインのマイナス」だと書き、この提携の実際の影響は、アマゾンがこの関係をどれだけ積極的に売り込むかにかかっているとしています。

「上位2社にとってのベアケースは、これがアマゾンのレストランデリバリー市場への参入の第一歩となる場合であり、これは現状と比較しての競争の増加を意味する」と McTiernan氏は書き、「特に郊外で強いシェアの恩恵を受けているドアダッシュにとって、この提携はより強い競争相手が現れることになるかもしれない」としています。

「無料に対抗するのは難しい」と同氏は述べ、今回の提携は「成長中の新しいエンドマーケット」である食料品分野でアマゾンがより積極的になっていることを示すものかもしれないと分析しています。

アマゾンがフードデリバリー市場に進出するのは、今回が初めてではありません。2019年、アマゾンは「アマゾン・レストラン」として知られていたフードデリバリーサービスを、4年間運営してほとんど成功を収めないまま終了しています。

このニュースを受けてドアダッシュの7月6日の終値は7.4%減の69.36ドル、ウーバーは4.53%減の21.5ドルとなっています。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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