2021年10月、米国の消費者物価指数(インフレ率)は前年同月比で6.2%上昇し、1990年12月以来の高水準となりました。その後、米国連邦準備制度理事会(FRB)は毎月の債券購入額の削減を検討しています。このようなマクロ環境下では、競争力やスケールメリットのある成長株だけが生き残る可能性が高いと言えます。
そんな環境のなかでも成功する準備が整っている銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。
ソーファイ・テクノロジーズ(SOFI)
ソーファイ・テクノロジーズは、第2四半期の業績が期待外れだったにもかかわらず、第3四半期(2021年9月30日締め)には、売上高と利益の両方がコンセンサス予想を上回り、しっかりとカムバックしました。
同社は、融資、住宅ローン、銀行業務、投資、個人金融サービスなど、顧客のバーチャル・バンキングに関するあらゆるニーズに応えるワンストップ・ショップです。同社のテクノロジー事業は、機関投資家のデジタル・バンキング・ニーズを支援しています。
ソーファイは、第3四半期に37万7,000人の新規顧客を獲得し、総会員数は290万人となりました。同社は、収益性よりも市場シェアを優先しており、増加した収益の70%を事業に再投資する計画にも表れています。
また、同社はクロスセリング戦略にも成功しており、第3四半期には提供商品の総数を前年同期比108%増の430万件に拡大しています。ソーファイは、この戦略の下に商品やサービスの総数を計上しており、多くの場合、顧客ごとに複数の異なる提供商品を含んでいます。
ソーファイは、Golden Pacific Bancorp銀行の買収完了後、第4四半期までに全米銀行としての認可を取得する予定です。この銀行免許の取得により、ソーファイは安価な資本にアクセスできるようになり、サードパーティの銀行に関連するローン組成コストを削減することができます。
第3四半期の同社の総売上高に占める融資事業の割合は77%を超えており、融資マージンの改善はソーファイの収益に大きな影響を与えます。銀行免許を持つフィンテック企業レンディングクラブのように、ソーファイもこれらのローンの一部を投資としてバランスシートに保持することができるようになります。その結果、純金利収入がソーファイの経常的な収益基盤に加わることになります。
ソーファイは、パガヤ・テクノロジーズとの提携により、フィンテック志向の独自の人工知能・機械学習技術と、強固なデータネットワークを利用できるようになります。これにより、同社は借り手のデフォルトリスクをより適切に評価し、最適な引受判断を行うことができます。
パガヤは、2016年3月の創業以来、100%の顧客維持率を誇っています。提携後12カ月以内に顧客の取引量を6倍以上に増やした実績があるため、今回の取引はソーファイにとってゲームチェンジャーとなる可能性があります。
多くの長所があるにもかかわらず、ソーファイの株価は先週から10%以上も下落しています。この下落は、Social CapitalのCEOであるChamath Palihapitiya氏が、同ベンチャーキャピタルの保有する株式の15%を売却したことが主な原因となっています。しかし、この下落は、個人投資家にとっては魅力的なエントリーポイントとなる可能性があります。
エアビーアンドビー(ABNB)
エアビーアンドビーの第3四半期(2021年9月30日締め)の業績は、売上と利益がコンセンサス予想を大きく上回りました。パンデミックによる旅行規制が業績に与える影響について懸念を表明していたエアビーアンドビーですが、第3四半期は過去最高水準の売上と利益を上げることができました。
エアビーアンドビーは、個人が所有する厳選された物件を、ホテルやリゾートに代わる便利で安全、かつ安価な手段として旅行者に提供することで、旅行・観光産業に変革をもたらしています。
2007年の創業以来、世界220以上の国と地域で、400万人以上の家主(ホスト)と提携し、10億人以上のゲストを迎え入れてきました。
先行者利益のおかげで、同社は現在、大きなブランドプレゼンスとネットワーク効果を享受しています。これは、広範で地理的に多様なホストネットワークが、より多くの顧客を呼び込み、顧客がその情報を広め、さらに多くのホストや顧客を呼び込むのに役立つからです。
ホストのネットワークは、より多くの住宅所有者がエアビーアンドビーと提携することで得られる金銭的なメリットを認識することで、さらに強固なものになっていきます(ホスト1人当たりの平均年間売上は9,600ドル)。
また、エアビーアンドビーは、ホストの登録やサポートのプロセスを簡素化するだけでなく、カスタマーサービスのさまざまな側面を継続的に改善してきました。また、資産を持たないモデルであることから、急速な拡大が可能であり、早期の収益化につながる可能性もあります。
エアビーアンドビーは、旅行需要が2020年の水準から回復していることに加え、柔軟な働き方の導入が進んでいることも追い風になっています。
パンデミックの際に主流となったこの傾向により、長期滞在(28日以上)の予約は、エアビーアンドビーの旅行期間で最も成長しているカテゴリーとなっています。第3四半期には、長期滞在が総宿泊数の20%を占めました。ハイブリッドワークモデルの普及と柔軟な働き方への要求の高まりは、エアビーアンドビーのトップラインを押し上げ、収益基盤の多様化につながります。
利益は出ていませんが、エアビーアンドビーのここ12ヶ月間(TTM)のフリーキャッシュフローは16億ドルに達しています。また、第3四半期末の現金残高は79億ドル、負債総額は24億ドルと、強固なバランスシートを誇っています。
エアビーアンドビーは、対象となるアドレス可能な市場(短期滞在、長期滞在、体験)の総計を3.4兆ドル規模と見積もっています。TTMの売上高はわずか53億ドルで、今後数年間で同社が成長する余地は大いにあります。