7月29日に決算発表を控えているアマゾン(AMZN)。ここに来てまた、株式分割を行う可能性があるのではとの声がちらほらと出ています。
Embed from Getty Imagesアマゾンの株価は現在3,669.82ドル(7月26日終値)ですが、米国の取引所上場銘柄でこの価格より高い価格で取引されている銘柄は他に3つしかないそうです。
価格が高すぎるという声はもうかなり前から上がっているのですが、ベゾス前CEOは頑なと言っていいほど、そのような声に応えるような動きを見せることはありませんでした。
そんなアマゾンですが、株式分割の実績はあります。1998年と1999年に3回株式分割を行なっています。あの当時は、分割をやるのが当たり前という雰囲気でしたから、そんな時流に押されて行なったのかもしれません。
ベゾス氏自身が語ったことはないと思いますが、「エヌビディアなど株式分割の増加で論議」で書いたようにやっても無意味と考えていたのかもしれません。
「株式分割は行わない」という社是でもあるかのように感じられていたアマゾンですが、今回またぞろ株式分割の可能性を予想する声があるのは、CEOが初めて代わったという転換点だからです。
ご存知のように、アマゾンのCEOは7月からジェフ・ベゾス氏からアンディ・ジャシー氏に代わりました。新CEOが時代が変わったことを宣言する道具として手っ取り早く、かつ重要性があまりない株式分割を使うのではとの憶測を呼んでいるのです。
それだけが理由ではありません。
最近では1株未満でも証券会社から購入できるようになっていて高価な株が安くなっても株式の取引においてはあまり意味を持ちませんが、オプション取引においては、価格が安くなることは意味を持ちます。
3,700ドルの株のオプションを取引することは一般の個人投資家にとっては容易なことではありません。保守的なリスク管理の手段がたくさん用意されているオプション取引を行う投資家が増えているだけに株式分割は歓迎されるはずです。
あと、株価が安くなることで、ダウ平均構成銘柄に採用される可能性が非常に高くなることも株式分割を望む人がいる理由の一つです。
ダウは価格加重型の指数ですので、今のアマゾンの株価ではダウの30銘柄に加えるとその影響力が強くなり過ぎてしまいます。よって構成銘柄に加えられる可能性はないと見られていますが、株式分割が行われ、ダウに加えられても問題ない価格になると、構成銘柄に選ばれることは間違いないと思われます。そうなると機関投資家の購入が増え、アマゾン株の価値はさらに高まり既存株主はその恩恵に浴することになります。
現在のアマゾンぐらいの時価総額になると、ゼロサムゲームに過ぎないと言われる株式分割であっても、これだけ実利的な効果を生み出すことになります。
単に象徴的な意味だけのものではないことを新CEOが理解すれば、ひょっとして29日の決算発表で株式分割の発表があるかもしれません。
*続報「アマゾン 株式分割の可能性?(2)」