エヌビディアなど株式分割の増加で論議

米国の大企業の間で株式分割が再び流行の兆しを見せています。以前は活発だった株式分割ですが、最近は人気がなくなり行われることも少なくなっていました。

先週、エヌビディア(NVDA)が1対4の株式分割を行うことを発表しました。これはアップルやテスラに続く動きで、S&P 500指数の構成銘柄が分割を行うのはこの1年間で8社目となります。ブルームバーグによりますと、この時期にこれだけの数の発表が行われたのは、過去6年間では最多だそうです。

分割の急増は、ラッセル3000指数の約600銘柄の株価が100ドルを超えるほどの上昇を見せている中でのことですが、株価のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすかについての長年の論争にはいまだ決着がついていません。個人投資家の売買の活発化や株式の端数処理などの最近の動きは、議論の行方をさらに複雑にさせています。

理論上は株式を分割しても株式数が増えて額面が変わるだけで、時価総額が増えるわけではなく、売上や利益の面では何の意味もありません。

分割を行う企業が挙げている主な動機は単純で、1株あたりの購入価格を安くすることです。2019年に入ってから株価が4倍以上に上昇し、650ドル近くに達しているエヌビディアは、1対4の株式分割計画を発表した声明の中で、その目的は「投資家と従業員にとって株式保有をより身近なものにする」ことだと述べています。

株式分割は、かつては強気の市場の特徴として信頼されていましたが、最近では人気がなくなっていました。2006年と2007年には、株価が再び記録的な水準に達したため、S&P500で47回の分割が行われました。エヌビディア、パッカー、Cumminsの3社は、2回の分割も行いました。しかし、そんな流行も終わり、2019年には2回しか行われませんでした。

手数料無料の取引や端株を提供する証券会社が増えたため、最近では株式を分割する理由を見出すのが難しくなっています。ロビンフッドのような証券会社では、1株2,300ドル以上しているグーグルの親会社であるアルファベットの株式を1ドルから購入することができます。

データを見ると、株式分割が長期的な株価上昇に寄与しないことが裏付けられています。ブルームバーグのデータによると、分割を行った企業の株式は、分割を行った年はS&P500をアウトパフォームするものの、分割の翌年にはアンダーパフォームするという結果になっています。

それでも株式分割が増えているのは、心理的な効果が大きいと見られるからです。米国市場では個人投資家の存在の重みが増しています。個人投資家の株式取引は、マーケットメーカーや独立系の高頻度取引業者に次いで多いそうで、個人投資家の規模は、クオンツ投資家、ヘッジファンド、伝統的なロングオンリーの投資家よりも大きくなっているといいます。

端株で買うのと1株で買うことの違い、1000ドルで1株買うのと100ドルで10株買うことの違いは、その及ぼす心理的効果が個人投資家にとっては大きく、市場がより一層拡大することにつながると考えられているようです。

最近、株式分割が相次いでいることから、アマゾンのような4桁の株価で取引されている大手テクノロジー企業も次に分割を行うのではないかという憶測を呼んでいます。

アマゾンは1998年と1999年に3回株式分割を行いましたが、それ以降は株式分割を行っていません。アマゾンの株式は3,200ドル前後で取引されており、前回の分割以来、5,000%以上の上昇を記録しています。

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