Eコマースの世界で素晴らしい成功をおさめているショッピファイ(SHOP)。2015年の新規株式公開以来、4,000%の上昇を記録し、投資家に巨額のリターンをもたらしました。
2021年5月に上場したばかりのオロ(OLO)は、世界で3兆ドル規模のレストラン業界で同様のことを行っています。オロは、Online Orderingの略。大手レストランチェーンにカスタマイズ可能な包括的デジタルオーダーソリューションを提供しています。
オロは、レストランのブランドをオンデマンドの世界に接続するデジタル注文およびデリバリープログラムを強化する。ブランド自身のウェブサイトやアプリ、サードパーティのマーケットプレイス、ソーシャルメディアプラットフォーム、スマートスピーカー、ホームアシスタントなど、すべての注文発信ポイントを通じてレストランへの直接注文を行っている。Applebee’s、Checkers & Rally’s、Cheesecake Factory、Chili’s、Dairy Queen、Denny’sなど、400を超えるブランドのオンデマンド注文およびデリバリープラットフォームとして機能している。
出所:マネックス証券銘柄スカウター
同社のSaaS(Software-as-a-Service)プラットフォームを利用することで、レストランはオンラインでの活動を拡大することができます。
また、インターネットを利用してフードデリバリーを変革しているドア・ダッシュなどとは異なり、オロは消費者向けのビジネスではありません。レストランがすべてのソフトウェアアプリケーションを整理しておくことができるソフトウェアプラットフォームとして、バックエンドで機能します。これにより、レストランは顧客とのデジタルな関係を作り、育てることができます。
成長は順調です。顧客には、Five Guys、Chili’s、Applebee’s、Shake Shack、Cheesecake Factory、Wingstop、Jimmy John’s、Cracker Barrel、Showmar’s、Qdoba、Denny’s、IHOP、Subwayなど、400ものレストランブランドが参加しています。Outback Steakhouseを展開するBloomin’ Brandsは、最近、自社製のソフトウェアを破棄し、オロのソリューションの契約を開始することを決定しました。
オロは昨年、146億ドル相当の食品販売を処理しました。同社のシステムは、毎日180万件の食品注文を処理しています。
オロの財務状況は素晴らしいものです。四半期ごとの売上成長率は124%で、5億円の現金があり、負債はありません。売上継続率(Net Dollar Retention)は120%です。つまり、同社は100%の顧客ベースを維持しているだけでなく、既存の顧客からの収入源を増やしているのです。また、売上総利益率は83%に達しています。
オロは純然たるSaaSであり、あらゆるビジネスモデルの中で最も強力なものであることは間違いありません。SaaS株の優れた点は、売上が一回限りのイベント(新規顧客への販売など)に基づいていないことです。むしろ、それぞれの売上は将来の売上を意味します。サブスクライバーからの売上は、毎月、毎年、継続して入ってきます。
他のビジネス分野では、「売上継続率(Net Dollar Retention)」という指標は使われません。これは、SaaS企業のために考案された指標です。100%以上であれば何でもいいのです。この指標が意味するのは、基本的には企業の誰かがソフトウェアを使用していて、現在ではその企業のより多くの人がそのソフ トウェアを使用しているということです。
あるいは、サブスクライバーがSaaSプロバイダーから追加のモジュールを購入していることを意味します。オロにはOrdering(料理の注文)、Dispatch(料理の配達)、Rails(サードパーティ・ソフトウェアを1つの簡単なインターフェイスで統合する)という3つのモジュールがあります。
オロは3桁台のパーセンテージの売上成長、多額の現金と負債を持たない資産性の高いビジネス、そして高い売上継続率など、SaaS企業の中でも傑出した存在です。なかでも、オロが特に優れた投資対象である理由は、レストラン業界の巨大なTAM(Total Addressable Market)、獲得可能な最大市場規模にあります。
3兆ドルと推定されるそのTAMは計り知れないほど巨額です。オロはそのレストラン業界に注力しており、SaaS企業として驚異的な粗利益率を誇っています。いつかは、それが、巨大なプロフィット・マージン、利益率に変わることが大いに期待できます(ショッピファイは現在46%を記録しています)。
オロの現在の時価総額は42億ドルあまり。まだ小規模な会社です。物語はまだ始まったばかりですが、オロの前には巨大なTAMが横たわっています。同社は、計り知れないほど大きなTAMを持つ業界の技術的なスイートスポットに位置しており、ショッピファイの足跡を同じようにたどることができれば、投資家に50倍とか100倍といった巨額のリターンをもたらすことも決して絵空事ではない銘柄です。
オロの将来は非常に明るいと思われますが、その株価は上場して間もないこともあり、現在は12カ月後の売上高の29倍で取引されています。この割高な評価を考えると、投資家は景気後退時に注意深く観察すべき銘柄であり、その浮き沈みの大きさを覚悟することが必要です。