アマゾン 広告事業が新たな柱に

アマゾン(AMZN)の広告事業が同社の重要な収入源として注目を集めています。

Cowenの新しい調査によると、広告主がアマゾンに広告を出稿する傾向が今後ますます強まるとのこと。その結果、オンライン広告業界の2強、アルファベット(GOOG)、フェイスブック(FB)から市場シェアを奪い続けることになるとみられるそうです。

Eコマースの拡大

アマゾンの存在感が増している理由はEコマースの拡大です。広告主は実際に商品を買ってくれる人に広告を見て欲しいと願っており、オンラインでの広告を増やしています。

2020年米国のオンライン売上高は前年比で32.4%増えたとのこと。2021年は鈍化する可能性が高いものの、マイナスになるようなことはなくパンデミック前の水準に戻ると予想されます。

アマゾンは、米国人がオンラインで商品を検索する際、その半数が最初に立ち寄る場所です。中でもプライム会員は、約75%の人がアマゾンで検索を開始しています。消費者が実際に購入するかどうかに関係なく、アマゾンのマーケットプレイスに自社製品の広告を掲載することだけで、広告主は価値を得ることができるのです。

他者の影響を受けない強み

アマゾン広告の強みは、他者の影響を受けにくいことです。特に大きいと見られるのがアップルの影響。

アップルが発表したiOS 14におけるプライベートポリシーの変更については「トレード・デスクの下落をどう見る」で書きました。そこでも書きましたように、この変更で大きな影響を受けるのがフェイスブックで、該当する広告収入の50%以上が減ってしまうと発表し抗議しています。

一方、アルファベットは毎年アップルに巨額を支払って、iOSやMac OSのWebブラウザ「Safari」でGoogleをデフォルトの検索エンジンに採用してもらっています。独禁法上の問題から規制当局が両社のこの関係を問題視しており、Googleに何らかの変更を求める可能性があります。さらにアップルが独自の検索エンジンを開発中との報道もあります。

オランイン広告の2強のこの状況に比べるとアマゾンは有利な立場にあります。アマゾンはそのエコシステムの中で完結する仕組みとなっており、外部からの影響を受けることがあまりありません。インプレッションからコンバージョンまで全て自社のエコシステムの中で広告を追跡できるという強みを持っています。少なくとも一部は他者からのデータに依存しているフェイスブック、グーグルとはそこが異なるところです。

広告事業が新たな柱に

Cowenのアナリストはアマゾンの広告事業の売上は2026年に850億ドル以上になると予想しています。

フェイスブックの過去4四半期の売上高が800億ドル足らずであったことを考えると5年後にアマゾンの広告事業は、今のフェイブックとほぼ同じ規模の事業に成長することになります。

これは現在のアマゾンの稼ぎ頭AWSの売上高(2019年 350億ドル)をはるかに上回る事業規模。クラウドコンピューティングの発展によりAWSも急速に売上を伸ばしており、2020年460億ドル、2021年600億ドル(いずれも楽天証券予想)と拡大が見込まれ、2026年までにはさらにこの数字を伸ばすと考えられますが、それと勝るとも劣らない規模に広告事業がなると予想されているのです。

フェイスブックの営業利益率が36%ですから、アマゾンの広告事業も同様の高い利益率が期待されます。

現在のアマゾンは売上高12%あまりのAWSが営業利益の67%を稼ぎ出している構造ですから、AWSの営業利益率30%あまりと同水準の収益性が期待できる広告事業の成長は、会社を支える新たな収益源の出現を意味します。

広告事業の成長はアマゾンに莫大な利益を生み出すことになり、さらに多くの分野に活動領域を広げることを目論むアマゾンの原資となりそうです。

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