マイクロソフト株の将来性を分析 AI時代でも強いと言える3つの理由

2026年に入り、米国株のテクノロジーセクターでは資金の流れが大きく変わっています。半導体関連には資金が集まる一方で、ソフトウェア関連には厳しい視線が向けられており、市場では「AIの進化が従来型ソフトウェア企業の収益構造を揺るがすのではないか」という懸念が強まっています。

その流れの中で、マイクロソフト(MSFT)も売り圧力の対象となっています。株価は2025年7月につけた高値555ドルから大きく調整し、時価総額も大幅に縮小しました。市場では、Officeや業務ソフトを中心とした従来のソフトウェアビジネスが、AIエージェントの普及によって相対的に価値を失うというシナリオが意識されています。

ただし、実際の業績や事業構造を丁寧に見ていくと、足元の株価下落はやや悲観に傾きすぎているようにも見えます。今回は、マイクロソフトの最新の事業データをもとに、同社の将来性を考察します。

主力ソフトウェア事業は依然として高収益を維持

市場が最も不安視しているのは、OfficeやLinkedIn、Dynamicsなどを抱えるProductivity & Business Processes部門です。AIが普及すれば、こうした既存ソフトの存在意義が薄れるのではないかという見方が広がっています。

しかし、直近の2026年度上半期データを見ると、この部門は売上高670億ドル、前年同期比16%増と堅調に成長しています。しかも注目すべきは、売上の大きさだけではありません。全社売上の4割超を占めながら、営業利益の過半数を稼ぎ出す極めて重要な利益源となっており、売上総利益率は82%という非常に高い水準です。

つまり、AIによってソフトウェア事業がすぐに崩れるという見方は、少なくとも現時点の財務には表れていません。むしろこの高収益事業があるからこそ、マイクロソフトは次の成長領域に大胆な投資を続けることができます。既存事業は衰退の入り口ではなく、AI時代を勝ち抜くための強力な資金源として機能していると言えます。

Azureが担う「守り」と「攻め」の両面価値

マイクロソフトの強みは、ソフトウェア企業でありながら、同時に巨大クラウドインフラ企業でもあることです。ソフトウェア事業に対する懸念が高まる中で、その最大のヘッジとなっているのがAzureです。

第2四半期においてAzureは40%弱の成長を記録しており、AI需要の拡大を直接取り込んでいます。企業がAIを本格導入するほど、計算資源、データ処理、セキュリティ、運用基盤の重要性は高まります。その受け皿としてAzureの存在感はさらに大きくなっています。

さらに同社は、今年度に1000億ドルを超える設備投資を予定しています。この規模は、単なる防衛策ではなく、AIインフラ時代の主導権を握るための先行投資です。仮に将来、AIエージェントが従来の業務ソフトの一部を代替する局面が来たとしても、そのAIを支える基盤がAzureである限り、マイクロソフトは価値の中心に残り続けます。

言い換えれば、ソフトウェアが伸びても利益を得られ、AIがソフトウェアの役割を置き換えても、やはり利益を得られる構造を築きつつあるのです。この二重の強さは、他のソフトウェア企業にはない大きな差別化要因です。

Copilotはまだ始まったばかり

AIマネタイズについても、現時点の数字だけで失望するのは早計です。Microsoft 365 Copilotの有料ユーザー数は1500万人とされていますが、この数字は同社の巨大な顧客基盤から見ると、まだごく一部にすぎません。

見方を変えれば、既存顧客の大半は今後のアップセル余地として残されているということです。加えて、今後は組織内でAIエージェントを管理・運用する仕組みや、セキュリティ製品と組み合わせた高単価のバンドル戦略も期待されています。

マイクロソフトは歴史的に、単発の新製品だけで勝つ企業ではありません。機能改善を重ね、企業が導入しやすい形にパッケージ化し、営業力と価格戦略で市場を広げていくのが同社の強さです。Copilotの現状はゴールではなく、むしろ本格収益化に向けた出発点と見るべきです。

株価水準には見直し余地がある

現在のマイクロソフト株は、成長期待の大きい大型テックとしては、以前よりもかなり落ち着いた評価にあります。市場予想では通期で売上高16%増、EPS21%増が見込まれており、それに対する予想PERが22倍台というのは、成長性を踏まえると割高感が薄い水準です。

さらに、同社はオープンAIへの過去の大型出資によって、戦略面だけでなく資産価値の面でも恩恵を受ける立場にあります。もちろん未上場資産の評価には不確実性がありますが、AIエコシステムの中心に近い場所にいることは間違いありません。

市場が短期的な不安を強く織り込んでいる今こそ、こうした構造的な強みが再評価される余地があります。

まとめ

足元の市場は、「AIがソフトウェアを壊す」という刺激的な物語に反応しやすい状況です。しかし、マイクロソフトの現実を見れば、主力事業は依然として高い利益率を維持し、AzureはAI時代の基盤として成長を続け、Copilotには大きな拡大余地が残されています。

つまり、同社はAIに脅かされる企業というより、AI時代におけるインフラと業務ソフトの両方を押さえる有力企業です。短期的なセンチメント悪化で株価が調整している局面は、長期視点の投資家にとって見直しの価値がある局面かもしれません。

情報ソース:Barron’s「Microsoft Stock Hasn’t Been This Cheap in a Decade. It’s Time to Buy.」をもとに再構成

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT

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