近年、AIの台頭によって既存のソフトウェアは不要になるのではないかという懸念が市場を覆っています。iシェアーズ・エクスパンデッド・テック・ソフトウェア・セクターETF(IGV)が2025年9月の最高値117ドルから31%も下落し、約80ドルまで売り込まれた事実は、投資家の恐怖を如実に物語っています。しかし、足元の事実情報をつなぎ合わせると、短期的・長期的な反発の兆しが見えてきます。本記事では、米バロンズ誌の報道内容を根拠に、今後のソフトウェア市場を分析します。
「80ドルの壁」に見る投資心理の底堅さ
テクニカルな視点で見ると、現在の株価水準には強力な買いの意志が感じられます。IGVは今月初旬に79ドル超で底を打ちましたが、これは2025年4月の売り浴びせ時の81ドルや、2023年末から2024年にかけてのサポートラインである70ドル台後半から80ドル台前半と一致しています。
この事実は、市場がソフトウェア企業の価値について、最悪のシナリオを織り込んでもこの水準が妥当であると判断していることを示しています。過去数年間にわたり同じ価格帯で買い支えが入っている事実は、ここが強力な下値支持線として機能する可能性が高いと考えられます。
内部関係者が送る強気のシグナル
最も注目すべき事実は、マイクロソフト(MSFT)内部での動きです。取締役を2014年から務めるジョン・スタントン氏が、2026年2月下旬に約200万ドル(5,000株)の自社株買いを行いました。
これはジェフリーズのアナリスト、ジェフ・ファブッツァ氏の指摘通り、過去10ヶ月で初のインサイダーによる購入です。特筆すべきは、前回インサイダー買いが見られた2025年4月以降、マイクロソフトの株価が6ヶ月で51%も上昇し最高値を更新したという過去のデータです。企業の内部情報を熟知している人間が巨額の私財を投じて買いに動いた点は、単なる憶測以上の重みがあります。
AI脅威論の選別:生き残るセクターの条件
アンソロピックやオープンAIといったAIパイオニアが既存ソフトを代替するという懸念は確かに存在します。しかし、すべてのソフトウェアが等しく駆逐されるわけではありません。
ここで注目すべきは、サイバーセキュリティ分野の特異性です。パロアルトネットワークス(PANW)やフォーティネット(FTNT)などが提供する技術は極めて複雑であり、AIモデルが即座に代替できる領域ではありません。事実、トリバリエイト・リサーチのアダム・パーカー氏も、これら急成長している高価な銘柄への投資を提言しています。
汎用的なタスクをこなすソフトウェアがAIに飲み込まれる一方で、高度に専門化されたサイバーセキュリティやシノプシス(SNPS)のような設計支援ソフトは、むしろAIインフラが拡大する過程で不可欠な存在であり続けると予想されます。
結論:リスクを取る価値の再評価
バンク・オブ・アメリカのサビタ・スブラマニアン氏が指摘するように、利益予想の修正によってPER(株価収益率)がさらに低下するリスクは否定できません。また、オラクル(ORCL)がAIデータセンター投資の多くを借入でまかなっているなど、財務的な懸念材料も存在します。
しかし、歴史的なサポートラインでの価格安定に加えて、何よりマイクロソフト取締役による10ヶ月ぶりの買いという事実は、ソフトウェア株が過度に売られすぎている側面を浮き彫りにしています。AIはソフトウェアを殺すのではなく、勝者と敗者を残酷に選別するプロセスに入ったといえます。この再評価の波の中で適切な銘柄を選択できれば、現在の価格水準は大きな好機となることが見込まれます。
情報ソース: Barron’s: “Software Stocks Are Finally Stabilizing. They Could Bounce Back.” (By Jacob Sonenshine, Feb. 20, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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