米国株式市場は、長らく一部の巨大IT企業によって牽引されてきました。S&P 500指数の上昇分の4割以上をこれら数社が占めるという構図は、投資家にとって既定路線となっていましたが、2025年の年末を迎え、その潮目に明らかな変化が訪れています。
バロンズの記事(2025年12月12日付)で報じられたゴールドマン・サックスの最新データを紐解くと、2026年に向けた市場のリーダーシップが特定のテーマへより純化されていること、そして市場全体への広がり(ブロードニング)が現実味を帯びていることが読み取れます。
「EV」から「AIインフラ」へ:リーダー銘柄の入れ替えが示唆するもの
最も注目すべき事実は、市場を牽引する「トップ7」の定義が書き換えられたことです。ゴールドマン・サックスの予測モデルにおいて、これまで「マグニフィセント・セブン」の一角を担ってきたテスラ(TSLA)が外れ、代わりにブロードコム(AVGO)が採用されました。
この入れ替えは、単なる銘柄選定の変更以上の意味を持ちます。
テスラ(自動車/一般消費財)が外れ、通信・半導体インフラの巨塔であるブロードコムが加わったことは、2026年の成長ドライバーが広範なハイテクから、より純粋なAI・デジタルインフラへと集約されたことを示唆しています。投資家は、消費者向け製品の普及よりも、企業間取引やデータセンター需要といった堅実なインフラ需要に確実な成長を見出していると言えます。
「成長の二極化」は縮小するも、王者の優位性は揺るがない
ハイテク株の優位性は終わったのかという問いに対し、データはNoと答えています。
ゴールドマン・サックスの予測によれば、新定義のトップ7の来年の利益成長率はプラス23%が見込まれています。対して、残りの493銘柄はプラス11%です。依然としてトップ7の成長力は市場平均の倍以上あり、S&P 500全体の利益成長の約半分をこの7社が稼ぎ出す構図は変わりません。
しかし、ここで注目すべきは残りの493銘柄が11%の増益予測を出している点です。これは、市場全体が健全な成長軌道に乗っていることを意味しており、ハイテク一強状態からの脱却、いわゆるソフトランディングの成功を裏付けています。
実体経済の強さが招くセクターローテーション
直近1ヶ月の市場データは、投資家の資金がすでに動き始めていることを証明しています。情報技術セクター(エヌビディアやマイクロソフトなど)を上回るパフォーマンスを、ヘルスケア、生活必需品、エネルギー、素材といったセクターが記録しました。
この動きを正当化するのが、FRB(連邦準備制度)によるマクロ経済見通しです。
- 2026年GDP成長率予測:2.3%へ上方修正
- 失業率:4.4%で安定
GDP成長率の見通しが引き上げられたことは、リセッション(景気後退)懸念の後退を意味します。経済全体が拡大するのであれば、ハイテク株のような成長株(グロース)だけでなく、素材やエネルギーといった景気敏感株(シクリカル)や、出遅れていたヘルスケアなどの割安株(バリュー)にお金が回るのは自然な理屈です。
結論:2026年は「バランス」が鍵
ゴールドマン・サックスは2026年末のS&P 500の目標株価を7600ポイント(2025年12月11日時点から約10%上昇)としています。
この10%を取りに行くための戦略は、以前のようなマグニフィセント・セブンだけを買っておけばよいという単純なものではなくなるはずです。 ベースラインとして、AIインフラ需要(新トップ7)による23%の利益成長を享受しつつ、実体経済の拡大(GDP2.3%成長)の恩恵を受けるオールドエコノミー銘柄をポートフォリオに組み込むことが重要です。
2026年は、突出した数社に依存する相場から、S&P 500全体(305ドルの予想EPS)が底上げされる健全な強気相場へと移行する年になると考えられます。
情報ソース: Barron’s: “ Mag 7 Stocks Still Dominate, Goldman Says. That Could Change Soon.” (By Martin Baccardax, Dec 12, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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