エヌビディア(NVDA)の第3四半期決算が発表され、売上・EPSともに市場予想を上回りました。短期では株価が調整する場面もありましたが、公開された事実を整理していくと、同社の成長が次の段階に進みつつあることが見えてきます。本記事では、報道で確認された客観的事実を根拠に、エヌビディアの将来性を考察します。
第3四半期決算は依然として堅調な拡大を示す
報道によると、エヌビディアの第3四半期売上は570億ドル、前年比62%増と強い伸びを示しました。調整後EPSも1.30ドルで、市場予想の1.26ドルを上回っています(出典:Barron’s)。
AIインフラへの大型投資が一巡したという見方が広がる中で、この数字を叩き出した点は注目に値します。需要が依然として堅調で、既存クラウド事業者を中心にAIワークロードが増加し続けていることがうかがえます。
ガイダンスは市場想定を上回り、2025〜2026年に向けた加速を示唆
エヌビディアが示した第4四半期の売上ガイダンスは650億ドル(中央値)で、市場予想の622億ドルを上回っています(出典:Barron’s)。さらに、このガイダンスには中国向け売上が含まれていません。地政学的に不透明な環境であっても、旺盛な企業需要を背景に成長を維持できる見通しがあると読み取れます。
また、ブラックウェルや次世代チップのルービンの合計で「2025年初頭〜2026年にかけて累計5000億ドルを超える売上が可能」とした経営陣の説明は、今後の成長規模の大きさを示す重要な材料と言えます。
ハードウェアの寿命が示すデータセンター投資の拡張性
エヌビディアCFOが「6年前のチップも顧客によりフル稼働している」と語った事実は、データセンターの投資構造を理解するうえで示唆に富んでいます。
この点は特に重要で、
- AIワークロードの増加により旧世代のハードウェアも引き続き有効に使われている
- 最新世代ブラックウェルへの需要が高まる一方で、設備更新ではなく積み増し投資が進んでいる
という二つの傾向を表しています。
現行世代ブラックウェルの売れ行きがCEOの言葉を借りれば「off the charts」であることとも整合し、AI投資が単なる流行ではなく構造的に広がっていることを示しています。
中東市場の拡大が新たな追い風に
米商務省が、UAEとサウジアラビアの2社に対し最大7万個の先端AIチップ販売を承認したという事実も見逃せません。対象となる企業はアブダビの国営AI企業G42とサウジ政府系AI企業Humainで、米企業はGB300サーバー3.5万台分相当をそれぞれに販売可能となります(出典:Barron’s)。
現時点では限定的な数量ではあるものの、
- 中国向けの制約が強まるなか、代替となる大規模需要が生まれつつある
- 中東がAIインフラ投資の新拠点として浮上
- 将来的な大口契約の前触れとなりうる
という構図が見えてきます。
11月20日の株価は調整局面:構造的成長余地をどう捉えるか
11月20日のエヌビディア株の終値は 180.64ドル(前日比3.15%安) でした。決算発表後、一時的に株価が上昇したものの、市場全体のリスクオフムードや金利要因もあり、短期では売りが優勢となりました。
しかし、ウォール街が示した平均目標株価は248ドルとされ、前日終値ベースで33%の上昇余地があるとされています。複数のアナリストが目標株価を引き上げていることも、根強い業績期待を裏付けています。
まとめ:事実が示すのは“AI投資の第二章”の始まり
今回の事実情報を整理すると、エヌビディアの現在地は以下のようにまとめられます。
- 売上・EPSともに市場予想を超える強い決算
- ガイダンスは市場予想を超え、中国を含まない構成でも成長が続く
- ブラックウェルおよびルービンの累計売上規模は過去想定を超える可能性
- 旧世代チップが現在もフル活用されるほどAI需要が拡大
- 中東市場という新たな成長エリアが開きつつある
- 株価は短期調整だが、中長期の構造成長のシグナルはむしろ強い
AI需要サイクルはピークアウトしたというより、むしろ新たな段階に入ったと捉えるほうが自然です。今回の決算と周辺事実は、エヌビディアが今後数年にわたってAIインフラの中心的企業であり続ける可能性を示しています。
出典:Barron’s
“Nvidia Stock Gives Back Gains After Earnings. Wall Street Still Has Questions About AI.”
Updated Nov 20, 2025
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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