デル株が「ダブル格下げ」で急落。アナリストの評価が割れる今、投資家はどう動くべきか?

11月17日の米国市場で大きな注目を集めたのがデル・テクノロジーズ(DELL)です。株価は一時10%近く下落し、120ドル近辺まで調整する展開となりました。背景には大手金融機関による評価の分裂があります。この記事では、報じられた事実を整理しながら、今後の投資判断について考察します。

今回の急落で何が起きたのか

米国市場では、デルを含むPC・サーバー関連株がそろって売られる展開となりました。

デル・テクノロジーズ(DELL)では、株価が10%近く下落するなど、短期的な市場の警戒感が強まりました。関連してHP(HPQ)やヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)にも売りが広がっています。

まずは、今回の中心となった評価の分裂を整理します。

弱気の材料(モルガン・スタンレー)

・投資判断を「オーバーウェイト」から「アンダーウェイト」へ2段階引き下げ
・目標株価を144ドルから110ドルへ下方修正
・NANDは過去半年で最大50%、DRAMは最大300%上昇とされ、部材コストの高騰が利益率を圧迫すると分析

強気の材料(J.P.モルガン)

・投資判断「オーバーウェイト」を維持
・目標株価を165ドルから170ドルへ上方修正
・AIサーバー需要が非常に強く、部材価格上昇の影響が実際に出るのは2027年以降と想定

市場では「110ドル(売り)」と「170ドル(買い)」という両極端の目標株価が並ぶ状況となっています。

この評価の分裂をどう理解すべきか

今回の株価急落は、単純な「悪材料」だけで説明できるものではありません。それぞれの論点を整理すると、見える景色が変わってきます。

コスト増とAI需要のせめぎ合い

弱気派の主張は、メモリ価格の急騰によるコスト上昇です。確かに短期的には粗利に影響が出る可能性があります。ただし、メモリ価格はシクリカル(循環的)な要因であり、長期で見ると反転することも多い材料です。

一方で、強気派が指摘するAIサーバー需要は構造的な成長トレンドにあります。特にサーバー用GPUや専用ハードウェアへの需要は堅調であり、AIインフラへの投資が続くかぎり、中長期の業績は押し上げられる可能性があります。

さらに、部材を事前購入していた分、価格上昇の影響は直近では軽微という見方もあります。市場がリスクを必要以上に織り込み過ぎている可能性もあります。

アナリストの意見割れはボラティリティの予兆

評価が真っ二つに分かれる局面では、株価の変動幅が広くなりやすい傾向があります。11月25日に決算発表が予定されているため、それまでは強気派と弱気派の思惑がぶつかり、不安定な動きが続くと考えられます。むやみにポジションを取ることはリスクが高まる展開となりやすいです。

今後の投資戦略:決算発表の内容が重要

今回の動きに対して、投資家が取るべき基本スタンスは「11月25日の決算を確認する」という姿勢です。

特に注目したいポイントは次の2点です。

・利益率(粗利)ガイダンス:メモリ価格上昇の影響を会社がどのように説明するか
・AIサーバーの受注残:AI需要がコスト増を上回る勢いを持つかどうか

もし決算で「コスト増の影響は軽微で、AI需要が堅調」という説明が出れば、今回の120ドル近辺は押し目買いの好機となる展開も想定されます。逆に粗利の低下を会社側が認める場合は、110ドル方向へ再び調整する可能性もあります。

まとめ

デルの株価急落はネガティブな印象を与えやすいですが、その背景には依然として強力なAIサーバー需要があります。重要なのは、アナリストごとの目標株価の違いではなく、「コスト上昇のリスク」と「AI成長のリターン」のどちらが現時点の株価に強く織り込まれているかを見極めることです。

11月25日の決算内容が次の大きな判断材料となります。短期の値動きに追随するのではなく、冷静に企業の説明をチェックする姿勢が必要です。

参考報道:Barron’s “Dell Stock Is Getting Crushed After a Rare Double Downgrade. The Case for Buying.”(2025年11月17日更新)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


*過去記事はこちら デル・テクノロジーズ DELL

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