サークル株が急落 好決算でも売られた3つの理由

  • 2025年11月13日
  • 2025年11月13日
  • BS余話

暗号資産関連銘柄のサークル・インターネット・グループ(CRCL)の株価が11月12日の米国市場で急落しました。第3四半期の決算は市場予想を大きく上回りましたが、同時に発表された2025年の経費見通しやロックアップ解除の可能性が投資家心理を冷やしています。

予想を上回る決算内容

サークルは第3四半期の1株当たり利益が64セント、売上が7億3980万ドルと発表しました。ウォール街の予想(EPS 0.20ドル、売上7億670万ドル)を上回る好調な内容でした。売上は前年同期比で66%増加し、ステーブルコイン「USDC」の発行残高も前年の2倍となる737億ドルに達しています。サークルの主な収益源は、USDC準備金からの利息収入です。

株価急落の背景①:ロックアップ解除への警戒

株価は同日12.6%下落し、85.94ドルまで下落しました。これは6月5日の上場以来の最安値圏です。IPO価格の31ドルからは依然として大幅な上昇幅を保っていますが、6月23日の高値からは約70%下落しています。

市場では、ロックアップ期間の解除が近づいていることが懸念材料となっています。SECへの提出書類によると、サークルは「第3四半期決算発表の2営業日後」にロックアップが解除される可能性があると明記しており、それが今週金曜の11月14日にあたります。経営陣や内部関係者の売却リスクが意識されました。

株価急落の背景②:経費見通しの上方修正

サークルは2025年の営業費用見通しを4億9500万〜5億1000万ドルと引き上げ、従来の4億7500万〜4億9000万ドルから増加しました。一方で、サブスクリプションなどの非リザーブ収益も9500万ドル前後へ上方修正しましたが、コストの増加幅のほうが大きく、投資家は利益圧迫を懸念しています。

主なコスト増の要因は、新たに計画している独自ブロックチェーン「Arcネットワーク」への投資とされています。パートナーにはブラックロック、HSBC、ビザなど大手金融機関が名を連ねています。

株価急落の背景③:金利低下による収益減懸念

サークルの収益構造は短期金利の動向に強く依存しています。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月と10月に利下げを実施し、12月以降も複数回の追加利下げが予想されています。金利低下は、サークルの主な収益源であるUSDC準備金の利息収入を減少させる要因となります。

経営陣の見解:長期的成長への自信

サークルの最高財務責任者(CFO)ジェレミー・フォックス=グリーン氏はバロンズの取材に対し、「ステーブルコインは金融のメガトレンドの始まりであり、短期的な変動よりも長期的な成長ポテンシャルが重要だ」と述べました。
また、最高経営責任者(CEO)のジェレミー・アレア氏も、米国で成立した「ジーニアス法」による規制の明確化が市場拡大を後押しすると強調しました。競争が激化しても、サークルとテザー(USDT)の2社が市場を支配する「勝者総取り型」構造になると見ています。

アナリスト評価:規制優位性で米市場をリード

テック調査会社サード・ブリッジのアナリスト、ジェイコブ・ズラー氏は「サークルは規制上の優位性により米国市場で最も有利な立場にあり、テザーの透明性の欠如や流動性の低さは脅威ではない」と評価しています。

ステーブルコイン市場では、サークルがより信頼性の高いプレイヤーとしての地位を固めつつあるものの、短期的にはコスト増とロックアップ解除が株価の重石となっています。


出典:Barron’s “Why Circle Stock Is Falling After the Company’s Earnings Beat Expectations” (2025年11月12日)

*過去記事「サークル・インターネット初決算で株価急騰 ジーニアス法が追い風に

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