AI電力戦争の新局面:投資家が次に注目すべき「オンサイト発電」とは?

  • 2025年11月13日
  • 2025年11月13日
  • BS余話

AI投資といえば、多くの投資家がまずエヌビディア(NVDA)のようなGPUメーカーを思い浮かべます。しかし、どれほど強力なGPUがあっても、それを動かす電力がなければAIは機能しません。現在、AIデータセンターの電力需要が従来の送電網のキャパシティを急速に上回りつつあり、電力不足が大きな制約となっています。

その中で注目されているのが、送電網の外側、つまりデータセンターの敷地内で電力を自給自足する「オンサイト発電」の流れです。これはAIインフラの常識を大きく変える動きと言えます。

AI企業が求めるのは「今すぐ使える電力」

従来、AIデータセンターの電力源として注目されてきたのは、コンステレーション・エナジー(CEG)やビストラ(VST)のような大手電力会社でした。しかし、大規模発電所を新設するには多くの手続きと長い準備期間が必要です。

一方で、マイクロソフト(MSFT)のサティア・ナデラCEOは「チップを差し込む電力をいかに早く確保するかが課題だ」と語っています。つまり企業は「数年後」ではなく「今すぐ」電力を欲しています。このスピードの差が、オンサイト発電の需要を急速に押し上げています。

バロンズも指摘する「BYOP時代」の到来

米バロンズ誌(11月13日付)は、AI向け電力市場が大きく変化していると報じています。特に注目されているのが、燃料電池メーカーであるブルーム・エナジー(BE)のCEOの次の言葉です。

“We are entering the age of BYOP — bring your own power.” (私たちは「電力を自分で持ち込む時代」に入っている)

この指摘どおり、これまでAIとは距離があった企業が電力供給の主役に浮上しています。

オンサイト送電で存在感を強める企業

オンサイト発電の分野では、多様な業種がAIデータセンター向けに急速に存在感を高めています。

建設機械・エンジンメーカーの台頭

キャタピラー(CAT)カミンズ(CMI)は、主に建設機械や大型エンジンを扱う企業ですが、これらの技術を生かした発電機がデータセンター向けに採用されています。トラックで運び込んで即日稼働できる点が大きな強みです。

燃料電池メーカーの進化

ブルーム・エナジー(BE)は、設置が迅速でクリーンな燃料電池システムを提供し、オラクルなどと契約を進めています。送電網に依存しない安定電源として評価されています。

異業種からの参入

リバティ・エナジー(LBRT)のような石油・ガス採掘関連企業も、技術を応用してAIデータセンター向け電力市場に参入しています。

投資家が捉えるべき視点

AI投資の真のテーマは、「AIを動かすGPU」だけでなく「GPUを動かす電力」にあります。特に重要なのは、電力をいかに早く、柔軟に供給できるかです。

キャタピラーのような伝統的産業企業が、AI時代のインフラ企業として再評価されている点は注目に値します。AIの成長を支える基盤は、必ずしもテック企業だけとは限らないためです。

エヌビディアの次の「10倍株」を探すという観点でも、送電網の外側に位置する企業群(CAT、CMI、BEなど)をウォッチすることは、ポートフォリオ強化に向けた新しいヒントになると考えられます。

(出典:Barron’s “AI Data Centers Need More Power Right Now. These Companies Can Deliver It.” (Nov 13, 2025))

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