米中関係が再び悪化:トランプ関税発言で株式市場急落

  • 2025年10月11日
  • 2025年10月11日
  • BS余話

2025年10月10日、米中関係の緊張が再び高まり、市場に不安が広がっています。トランプ大統領は、中国がレアアース輸出規制を拡大したことに対抗し、「大規模な関税引き上げ」などの報復措置を検討していると発言しました。

トランプ大統領はSNS上で「中国は非常に敵対的になっている」と述べ、月末に予定されていた韓国での習近平国家主席との会談も再考する意向を示しました。この発言を受け、S&P500は2.7%下落し、投資家心理は一気に冷え込みました。

レアアース規制と米中経済の対立構造

中国政府は、レアアースを含む磁石製品の輸出に対して新たな許可制を導入し、供給網全体を締め付ける動きを強めています。これにより、米国の防衛やEV産業など幅広い分野に影響が及ぶ可能性があります。

米国防総省が出資するMPマテリアルズ(MP)の株価はこのニュースを受けて8.5%上昇しました。同社は、F-35戦闘機や電気自動車に使われるネオジムやプラセオジム酸化物を生産しており、米国内での資源確保を進める中心的存在です。

専門家の見解:緊張緩和の可能性と政治的リスク

アジアグループのカート・トン氏は「両国は“人参(carrot)”を交換する関係を模索していたが、再び“棒(stick)”の応酬に戻りつつある」と分析しました。10月末の韓国会談までに関係修復の兆しが見えるかが焦点となります。

一方、フーバー研究所のダン・ワン氏は「中国は優位に立っていると錯覚しているが、トランプ大統領が関税を再導入すれば自国経済への打撃は大きい」と警鐘を鳴らしています。

農業・インフレへの影響

ヴェダ・パートナーズのエコノミスト、ヘンリエッタ・トレイズ氏は「中国が米国農産物の購入を拒んでいるため、米農家への影響が深刻化する」と指摘。トランプ政権が農家支援策を急ぐ可能性を示唆しました。

ただし、BCAリサーチのマルコ・パピッチ氏は「トランプ大統領は“ディールを好む人物”であり、最終的には取引が成立する」と見ています。インフレ懸念が強まる中、関税拡大は政治的にもリスクが大きいため、完全な対立には至らないという見方もあります。

投資家への示唆

22Vリサーチのマイケル・ハーソン氏は「現時点では両国とも実際の措置には踏み切っておらず、まだ後戻りできる」と述べ、財務長官スコット・ベッセントと中国副首相・何立峰の対話ルートが緊張緩和の鍵になると分析しています。

米中関係の行方は、AIサプライチェーン、半導体、農産物、そしてインフレ動向に直結するだけに、今後数週間の外交動向がマーケットの焦点となりそうです。

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