アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価が、オープンAIとの提携報道をきっかけに大幅に上昇しています。過去3日間で40%超上昇し、これは2016年4月以来となる3日間での最大上昇率です。特に10月6日には、オープンAIがAMDのチップを6ギガワット規模で採用し、最大1億6,000万株の新株予約権を取得する契約を発表したことが注目を集めました。
この発表を受け、投資家の間ではAI関連銘柄への期待が再燃しています。米国みずほ証券のアナリスト、ジョーダン・クライン氏は「AMDの数字そのものよりも、次世代GPU『MI450』をどれだけ早く量産できるかが焦点になっている」と述べています。
オープンAIとの提携が示す戦略的転換
今回の契約により、オープンAIはエヌビディア(NVDA)以外のサプライヤーを確保することで、半導体調達の多様化を進めようとしています。Gimme Creditのシニアアナリスト、デイブ・ノボセル氏は「エヌビディアだけではオープンAIが求めるチップ供給量を満たせない可能性がある」と指摘し、AMDのGPUが他のAI企業にも採用されるきっかけになると分析しています。
投資家心理と今後の見通し
一部の投資家はAMD株の急騰を警戒しているものの、11月に予定されている投資家向けイベントが次の上昇材料になるとの見方もあります。クライン氏は「投資家説明会では、AIチップのロードマップや生産能力に関するポジティブな発表が期待できる」と述べています。
市場全体に広がるAI関連銘柄の上昇
8日の米国市場では、AI関連株全体が再び上昇基調に入りました。AMDがS&P500構成銘柄の中でトップパフォーマンスとなり、株価は11.4%上昇しました。エヌビディアも2.2%上昇し、オラクル(ORCL)はAI関連クラウド事業の利益率懸念が和らいだことで1.6%上昇しました。
また、デル・テクノロジーズ(DELL)は投資家向けイベントが好評を博し、株価が9.0%上昇しました。クラウド運用企業のコアウィーブ(CRWV)も8.7%上昇し、エバコアISIのアナリストが同社の財務モデルを「耐久性があり、減価償却を考慮しても採算が取れる」と評価しています。
AI半導体競争の次のステージへ
オープンAIとの提携は、AMDにとってAI半導体市場での存在感を一段と高める契機となりました。今後、MI450の生産スピードと性能が市場の注目を集める中で、エヌビディアとの競争が新たな局面に入る可能性があります。AIインフラへの投資が加速する中、AMDは再び主役の座に近づいているといえます。
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