2025年10月、エヌビディア(NVDA)が人工知能スタートアップへの大型投資を発表したことで、一部のアナリストや市場関係者から「バブル的」「循環キャッシュではないか」といった批判が上がっています。しかし、メリウス・リサーチのアナリストはこの動きを前向きに評価し、今後の株価上昇の材料になり得ると分析しています。
「循環キャッシュ」との批判とは
エヌビディアは、2025年9月にオープンAIへ最大1000億ドルの投資を発表しました。この資金は、AIインフラ構築のためのGPU購入などに使われる予定であり、「自社製品を購入させるための投資」と見る向きもあります。このような構造を「循環キャッシュ(Circular Cash)」と呼び、一部ではAIバブルを助長する動きではないかと疑問視されています。
メリウスによる反論と強気予想
メリウスはこの批判に対し、エヌビディアの動きは単なる資金の循環ではなく、戦略的なエコシステム投資だと反論しています。アナリストは、今後3年半で同社のフリーキャッシュフローが6000億ドルを超えると予想し、そのうちの多くが自社株買いだけでなく、エコシステムの強化に使われると見ています。
たとえば、2025年3月に実施されたコアウィーブ(CRWV)のIPOに対する2億5000万ドルの投資は、240%超のリターンをもたらした成功例です。
オープンAIへの段階的投資と成長期待
オープンAIへの投資も一括ではなく、ギガワット単位で段階的に行われることが明示されており、実需に即したインフラ投資とされています。これにより、AI向けGPUの安定的な需要が期待でき、同社の「AIフライホイール(好循環)」を加速させる可能性があります。
SaaSや検索エンジンを代替するAIの拡大
メリウスは、AIがSaaSや検索エンジンの役割を代替し始めている点にも注目しています。ウォルマート(WMT)によるサプライチェーン最適化や、JPモルガン(JPM)による社内AI導入も、いずれも業務効率化の一環であり、AI活用は今後も拡大するとの見通しを示しました。
今後の焦点は「自律型マシン」インフラ投資
メリウスは、現在のAIインフラ投資はまだ序章にすぎず、「自律型マシンやロボティクス」に向けた本格的な支出はこれから始まると指摘しています。エヌビディアはすでに長年にわたり関連企業への投資を行っており、その先行者利益を最大限に活かせるポジションにあると述べています。
まとめ:循環か、成長戦略か
株主にとって気になるのは、これらの投資が「売上・利益の上振れ(beats and raises)」を伴うかどうかです。メリウスはその可能性が高いとみており、株価はさらに上昇する余地があると結論づけています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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