2025年から2030年にかけて、世界のAIチップ市場は劇的な変化を迎えます。市場全体の規模は4750億ドルに達する見込みで、現在圧倒的なシェアを誇るエヌビディア(NVDA)の独走状態にも変化が起きつつあります。その中で注目されているのが、ブロードコム(AVGO)とアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の動向です。
エヌビディアのシェア低下と「第2の座」の争奪戦
エヌビディアのAIチップ市場シェアは現在約80%に達しています。しかし、サスケハナ証券のアナリスト、クリストファー・ローランド氏は、2030年には67%まで低下すると予測しています。エヌビディアの顧客企業がコスト削減や自社開発の強化を目的に、他社のチップを模索していることが背景にあります。
このような環境下で、ブロードコムとAMDが「第2の覇者」の座を巡って激しく競り合っています。
ブロードコムのAI戦略:最大顧客への特化と成長加速
ブロードコムは、主要テック企業との密接な連携を武器に、カスタムAIチップの設計と供給に注力しています。2025年には145億ドルのAI関連売上を見込んでおり、これが2030年には650億ドルに達すると予想されています。これは市場全体の13.7%に相当する規模です。
同社は、わずか3社のハイパースケーラー顧客から2027年までに600億~900億ドルの売上機会があると見積もっており、その戦略は極めて明確です。自社設計を望む大手企業に対して、エヌビディアのGPUに代わる選択肢を提供することでシェアを拡大しようとしています。
*過去記事はこちら ブロードコム AVGO
AMDの挑戦:MI400シリーズに賭ける
一方、AMDは、エヌビディアのブラックウェル・アーキテクチャに対抗する新シリーズ「MI400」で攻勢に出る構えです。特にMI450は、ラックスケールで72プロセッサを搭載したAIサーバーとして注目されており、本格的な競争力を持ち始めています。
同社のAIチップによる売上は、2025年の63億ドルから2030年には200億ドル以上に増加すると見込まれています。市場シェアでは約4.2%となりますが、技術革新次第ではさらなる拡大も視野に入ります。
*過去記事はこちら AMD
投資家視点:両社ともに「ポジティブ」評価
調査を行ったサスケハナ証券のローランド氏は、ブロードコムとAMDの両銘柄に「ポジティブ」評価を与えています。ブロードコムの目標株価は400ドル(現在は329.80ドル付近)、AMDの目標株価は210ドル(現在は157.44ドル)と、それぞれ成長余地があるとしています。
まとめ:AIチップ市場の勢力図に変化の兆し
2030年に向けて、エヌビディアの支配的地位に陰りが見え始めたことで、ブロードコムとAMDの台頭が現実味を帯びています。AIチップの調達先を多様化したいテック企業のニーズに応える形で、両社は今後も存在感を強めていくことになりそうです。
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇