2025年9月、エヌビディア(NVDA)は、生成AIのトップ企業であるオープンAIへの最大1000億ドルの投資を発表しました。ただの出資にとどまらず、AIデータセンター、いわゆる「AIファクトリー」の設計にも深く関与する方針です。
この動きにより、特定のエンジニアリング企業やインフラ関連企業が大きな恩恵を受ける可能性があると報じられています。
エヌビディアとオープンAIが共同設計する「AIファクトリー」
エヌビディアはこれまでにも、AI専用クラウドサービス企業コアウィーブへの出資など、データセンター事業に深く関わってきました。今回は、AI訓練用データセンターの設計において、オープンAIと「ロードマップを共同最適化」するという新たな戦略に踏み出しています。
データセンターは今後、計算能力と消費電力の拡大に伴って、従来の設計では限界に直面すると言われています。そこでエヌビディアは、冷却、電源供給、オーケストレーションといったインフラの効率化を目指し、設計段階からITと施設を統合するアプローチを取ります。
恩恵が期待される5つの企業
こうした背景から、エヌビディアとすでに提携している以下の企業に注目が集まっています。
- ジェイコブズ・ソリューションズ(J)
エヌビディアのパートナーとして設計プロセスをリード。複雑化するAIファクトリーの構築において、総合的な設計力が求められています。 - シュナイダーエレクトリック(SU.PA)
電力インフラの最適化において、長年の実績を持つフランスの企業。エヌビディアの高密度GPU環境に適した電力供給システムを支援します。 - バーティブ(VRT)
主に冷却とラック管理に特化した企業で、ブラックウェルチップ向けの次世代冷却ソリューションで注目されています。 - GEベルノバ(GEV)
再生可能エネルギーとの連携による電源構成の最適化を進めており、サステナブルなデータセンター運用に貢献しています。 - シーメンスエナジー(ENR.DE)
電力制御や発電所向け設備を提供するドイツの企業で、大規模なデータセンター向けインフラの一翼を担います。
電力需要の劇的増加と「デジタルツイン」技術の活用
エヌビディアはまた、設計の最適化に「デジタルツイン」技術を活用しています。物理空間の仮想再現により、実際に稼働する前に最適な配置や冷却効率をシミュレーションすることが可能です。
スイスの産業企業ABBの幹部も、電圧を800ボルトにまで高める必要性を示唆しており、既存の48ボルト規格では今後の拡張には対応しきれないと指摘しています。
今後のスタンダードになる可能性も
もしエヌビディアが推進するAIデータセンターの設計が業界標準になれば、上記5社の事業機会はさらに拡大する可能性があります。AIインフラの規模が都市レベルに達しようとしている今、半導体だけでなく、その周辺エコシステムにも注目が必要です。
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇