個人の資産運用にAIを使う前に知っておくべきこと

  • 2025年9月22日
  • 2025年9月22日
  • BS余話

2025年9月20日、米投資情報メディア「バロンズ」は、AIと個人の資産運用に関する興味深い記事を掲載しました。タイトルは「Want to Use AI for Your Personal Finances? Choose Your Questions Carefully(個人資産にAIを使いたい?その前に質問を精査せよ)」です。この記事では、AIがどのように投資家を支援し得るのか、またその限界や注意点について、専門家の見解や実例を交えて解説されています。

AIは強力だが、質問力が試される

記事によると、AIは投資の意思決定を助ける上で非常に有用なツールとなり得ますが、「どのような質問をするか」が成果を大きく左右するとのことです。ロボアドバイザー企業「ベターメント」のファイナンシャルプランニング責任者ニック・ホールマン氏は、LLM(大規模言語モデル)の出力が一貫性に欠けるケースを指摘しています。インフレ率が2%で計算されたかと思えば、次の計算では3%になっていたり、大学費用の見積もりで授業料だけを含んだり書籍代も含めたりと、出力にばらつきがあるのです。

オープンAIの広報は、ChatGPTなどのAIツールに関して「出力は常に正確とは限らない」「唯一の情報源やプロの助言の代替として使うべきではない」との注意書きを引用しています。

AIを使いこなすには、投資の基礎力が必要

NYUスターン・ビジネススクールのデータサイエンス教授、ヴァサント・ダール氏は「ChatGPTから価値を引き出すには、その内容を評価する力が必要」と語っています。実際に記事では、金融の素養を持つ若手投資家ジョン・ニニア氏の例が紹介されています。ニニア氏は、トランプ大統領とパウエルFRB議長の間の緊張に着目し、金利低下が住宅建設需要を押し上げるかをAIに質問。そこから上場住宅建設会社3社の財務指標を取得し、割安な銘柄に投資したといいます。

生成AIは今のところ「情報整理ツール」

現時点で、AIはポートフォリオの最終的な判断を任せるには不十分だと記事は示唆しています。しかし、投資用語の解説や「60/40ポートフォリオ」や「ドルコスト平均法」などの基本戦略の理解、あるいはS&P500構成ETFのリストアップなどには有効です。バロンズによれば、調査機関トウセンターの研究では、8つのAIツール中60%以上のクエリに誤答が含まれていたとのこと。つまり、「間違った回答を出してしまうことを拒否せず、正しそうに見える誤情報を平然と出す傾向がある」と警鐘を鳴らしています。

進化するAI機能:パブリック・ドットコムの事例

投資アプリ「Public.com」では、AIツール「Alpha」を導入しており、保有資産に関連したニュースの要約や決算発表のハイライトなどをチャット形式で提供しています。同社のCOOスティーブン・サイクス氏は「リテール投資家が企業を理解するうえで重要な情報の要点を抽出することに特化している」とコメントしています。

まとめ:AIは「補助輪」として活用を

バロンズの記事を通じて伝えられるメッセージは明快です。AIは資産運用において情報収集や概念理解を助ける強力なツールではあるものの、その出力を鵜呑みにせず、自身の判断力と信頼できる情報源で裏付ける姿勢が不可欠です。

投資にAIを取り入れようと考えている方は、まず「何を知りたいのか」を明確にし、出力された情報を多角的に検証する習慣を持つことが大切です。

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

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