2025年9月17日、投資情報メディアのバロンズが「ネオクラウド(neocloud)」という新しい概念を紹介した記事を公開しました。この記事では、AI時代のクラウドビジネスにおける急成長企業として、コアウィーブ(CRWV)やネビウス・グループ(NBIS)が取り上げられています。
従来のハイパースケーラーを揺るがす「ネオクラウド」の台頭
アマゾン、マイクロソフト、グーグルといった大手クラウド企業(いわゆるハイパースケーラー)は、AIブームによりデータセンター需要の急増を受けています。一方で、AIに特化したクラウド基盤を提供する中小の新興企業も脚光を浴びており、それが「ネオクラウド」と呼ばれる新潮流です。
その代表格が、元暗号資産マイニング企業のコアウィーブと、「ロシアのグーグル」と呼ばれていたヤンデックスの欧州部門からスピンオフしたネビウスです。いずれもAIクラウド専業として事業を拡大しており、ハイパースケーラーにとって競合でありつつも、時には供給元にもなっています。
コアウィーブ:AI需要を追い風に197%上昇
コアウィーブは2022年に売上1,600万ドルだったものの、直近12カ月では35億ドルに急増。2025年3月のナスダック上場以降、株価は197%も上昇しました。同社の成長モデルは、「AIクラウド需要 → 資金調達 → データセンター投資 → 売上増加 → 再度資金調達」という“フライホイール”構造に支えられています。
この成長モデルの鍵を握るのがエヌビディア(NVDA)です。同社は2023年、業界トップのAIアクセラレータを優先的にコアウィーブに供給。それにより、マイクロソフトがコアウィーブからサーバーを借りざるを得ない状況を作り出しました。2025年第2四半期には、売上の71%がマイクロソフトからのものとなっています。
さらに今週、エヌビディアはコアウィーブと63億ドル規模の契約を締結。販売されなかったクラウド容量を買い取るという内容で、コアウィーブの“万一の失速”に備える形です。
*過去記事「コアウィーブに追い風!エヌビディアとの長期契約が明らかに」
ネビウス:マイクロソフトとの契約で株価381%上昇
ネビウスは2023年第1四半期の売上がわずか500万ドルでしたが、直近四半期では1億500万ドルに急増。2024年10月のナスダック上場以来、株価は381%の上昇を記録しています。先週末には、マイクロソフトと5年間で最大190億ドル規模のサービス契約を締結。これにより、Azure向けのオーバーフローデータ処理を担うこととなり、さらなる成長が見込まれています。
ネビウスも同様に、急成長を支える資金が必要であり、今週には42億ドルの資金調達(新株発行+転換社債)を実施しています。
*過去記事「ネビウス株が44%急騰!マイクロソフトと174億ドルのAIクラウド契約を締結」
巨大な成長と表裏一体のリスク
両社とも巨額の設備投資を前提とした成長モデルであり、少しでもAI需要に陰りが見えると、フライホイールが止まりかねません。コアウィーブは2025年に最大230億ドルの設備投資を予定しており、既に72億ドルの新規債務契約を結んでいます。
このような成長は、AI需要が続く限りは強力な追い風になりますが、逆風となれば「クラウドバブル」として破綻するリスクも内包しています。
今後の注目点
- コアウィーブとネビウスがどこまでマイクロソフト依存から脱却できるか
- エヌビディアによる“後ろ盾”が今後も続くか
- 他のクラウドベンダー(アマゾンやグーグル)との契約動向
ネオクラウドの世界は、AIインフラ需要の最前線にありながら、極めて資本集約的でリスクも高い分野です。投資家にとっては、急成長と崩壊リスクの両方を見極める冷静な視点が求められています。
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