米国時間9月9日、AIインフラ企業ネビウス・グループ(NBIS)の株価が44%近く急騰しました。背景には、マイクロソフト(MSFT)との間で締結された大規模なAIインフラ契約があり、契約総額は5年間で174億ドルに達すると報じられています。この発表を受けて、コアウィーブ(CRWV)、IREN(IREN)、テラウルフ(WULF)といった同業他社の株価も上昇しました。
マイクロソフトが求める「外部AIキャパシティ」
今回の契約により、マイクロソフトはニュージャージー州ヴィンランドに新設される300メガワット規模のデータセンターからAI向けコンピューティングリソースを確保します。特筆すべき点は、これが自社設備投資を伴わない「オフバランスシート」型の契約であることです。これにより、マイクロソフトは自社のキャッシュフローや人的リソースを使うことなく、急増するAI需要に対応可能となります。
契約金額は最大194億ドルに拡大する可能性もあるとされ、今後の追加契約の余地も示唆されています。
コアウィーブなどライバル企業にも追い風
このニュースにより、AIインフラ市場でネビウスと競合する企業にもポジティブな影響が波及しました。たとえば、コアウィーブの株価は朝方に8%上昇しました。同社は6月に小売投資家の注目を集め、一時株価が急騰しましたが、その後は40%近く下落していた状況です。今回のマイクロソフトの動きが、他のハイパースケーラーやフロンティアAIラボとの契約獲得の可能性を示唆しており、コアウィーブにも追い風が吹いています。
IRENとテラウルフにも買いが集まる
オーストラリア拠点のIREN(旧アイリス・エナジー)は、8月にエヌビディア製チップの追加購入を発表し、年末までにAIクラウド関連の年換算売上を10倍に拡大すると表明しました。今回のネビウスの件を受けて、IRENの株価は7.7%上昇しています。
さらに、テラウルフ(WULF)も株価が7.4%上昇しました。同社は過去3カ月で株価が2倍以上に上昇しており、背景にはグーグルの親会社アルファベット(GOOGL)による出資と、AIホスティング契約があると伝えられています。
分散型クラウドの優位性と資金調達環境
D.A. デビッドソンのアナリスト、アレクサンダー・プラット氏は、こうした「ネオクラウド」企業の強みとして、迅速な構築と運用、そして現在のAIブームに乗じた豊富な資金調達機会を挙げています。低金利で集まる資金がリスクに見合わないほど潤沢に供給されており、こうした企業にとって成長の加速装置となっています。
ネビウスの成長はまだ序章
なお、ネビウスはヤンデックスの事業再編から誕生した企業であり、四半期売上は1億510万ドルと、同業のコアウィーブ(12億1000万ドル)と比べてまだ小規模です。しかし、今回の契約により注目度は一気に上昇しており、今後さらなる大型契約や顧客獲得の可能性もあると見られています。
*過去記事「ネビウス株が44%急騰!マイクロソフトと174億ドルのAIクラウド契約を締結」
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