2025年8月1日、米ストリーミング企業のロク(ROKU)の株価が好決算発表後にもかかわらず、大きく下落しました。第2四半期の売上と利益は市場予想を上回ったものの、株価は15%以上も下がり、投資家の間に驚きが広がっています。
第2四半期は売上・利益ともに予想を上回る
ロクは2025年第2四半期に1株当たり7セントの利益を記録しました。これはウォール街が予想していた1株当たり15セントの赤字を大きく上回る結果であり、前年同期の24セントの赤字からも大きく改善しています。売上は11億1,000万ドルとなり、市場予想の10億1,000万ドルを上回り、前年比で15%増加しました。
CEOのアンソニー・ウッド氏は決算説明会で「この四半期の結果には非常に満足している。特にプラットフォーム売上の成長戦略がうまく機能していることが確認できた」と述べました。
プラットフォーム事業は堅調、デバイス事業は関税の影響懸念
ロクの中核をなすプラットフォーム売上(広告収入やサブスクリプション手数料)は前年同期比18%増の9億7,550万ドルとなりました。一方で、ロクのデバイス事業(ハードウェア販売)は前年同期比6%減の1億3,560万ドルに落ち込んでいます。
同社は2025年通期のプラットフォーム売上をこれまでの見通し(39億5,000万ドル)から40億8,000万ドルに上方修正しました。しかし、デバイス売上については「主に関税の影響によりわずかに減少する」としています。
この関税は、2025年7月31日夜にドナルド・トランプ大統領が発表した新たな政策によるものです。
株価下落の要因は「市場全体の売り圧力」
アナリストの多くは、ロクの決算が健全であることを評価しています。ピボタル・リサーチ・グループのジェフリー・ウロダルチャク氏は「関税によってデバイスコストが上がったとしても、同社の主軸は広告であり、従来型の有料テレビからストリーミングへの移行が追い風となる」とし、目標株価を100ドルから120ドルに引き上げました。
また、ウェドブッシュのアナリストであるアリシア・リース氏も「関税の影響を受ける可能性はあるが、プラットフォーム事業の成長で十分に補える」とコメントし、目標株価を110ドルに引き上げています。
それでもなお株価が急落した背景には、労働市場データの悪化と関税発表を受けた米国株市場全体の下落があります。S&P500指数はこの日1.7%下落しており、ウロダルチャク氏は「市場全体の売りが、過去12か月で52%も上昇していたロクのような銘柄に向けられた」と分析しています。
まとめ:短期的な株価変動よりも中長期の成長に注目
今回の株価急落は、一時的な市場の動揺によるものと考えられます。ロクの事業はプラットフォーム中心に着実に成長しており、広告主の支出が増加する傾向や、視聴者のストリーミング移行といった長期トレンドに支えられています。
投資家としては、関税などの外部要因に過剰反応するのではなく、同社の中長期的な成長ポテンシャルに目を向けることが重要です。
*過去記事はこちら ロク ROKU