AIクラウドサービスで注目を集めてきたコアウィーブ(CRWV)に対し、ウォール街では慎重な見方が広がりつつあります。バロンズが2025年7月8日に報じたところによると、同社がデータセンター・パートナーであるコア・サイエンティフィック(CORZ)の買収を発表したことで、複数のアナリストがコアウィーブ株を格下げしました。
データセンターを「借りる」から「持つ」へ
コアウィーブはこれまで、エヌビディア(NVDA)のAIチップを活用したサーバーをマイクロソフト(MSFT)などに貸し出すクラウド事業を展開してきました。同社の最大顧客であるマイクロソフトは、2025年第1四半期の売上の72%を占めています。
今回の買収により、コアウィーブはコア・サイエンティフィックからデータセンターを借りるのではなく、自社で保有・運営する形へとビジネスモデルを転換します。これにより、今後12年間で約69億ドルの粗利益改善が見込まれており、約100億ドルのリース義務と50億ドルの支出を回避できるとされています。
アナリスト評価に変化
こうした動きについて、シュティフェルのルーベン・ロイ氏は「企業のポジショニングが変わったことで評価構造も変化した」と指摘。同氏はコアウィーブの投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げ、目標株価を75ドルから115ドルに引き上げたものの、現在の株価(157ドル台)からは大幅な下落余地があるとしています。
さらに、米国みずほやH.C. Wainwrightも同様に格下げを発表しており、投資家の間で「バリュエーションの見直し」が始まっていることがうかがえます。
IPOロックアップ解除も下押し要因に?
コアウィーブのIPOは2025年3月であり、ロックアップ期間の解除が9月に予定されています。関係者や初期投資家による株式売却が予想されており、株価の下押しリスクとして意識されています。
今後の注目ポイント
長期的にはインフラを垂直統合することによるコスト削減と利益率の改善が期待されますが、短期的には株価の調整が入りやすい地合いとなっています。特に「インフラ依存型ビジネスモデル」への移行が評価にどう影響するかが注目されます。