コアウィーブが90億ドルでコア・サイエンティフィックを買収!AIインフラ戦略が加速

  • 2025年7月8日
  • 2025年7月8日
  • BS余話

2025年7月7日、人工知能(AI)クラウド企業のコアウィーブ(CRWV)が、データセンター・インフラのパートナーであるコア・サイエンティフィック(CORZ)を全株式交換によって買収すると発表しました。この動きは、AIインフラ市場での競争力をさらに強化するための重要な一手となります。

コアウィーブによる買収の背景と目的

コアウィーブは2017年に創業され、GPU(グラフィックス処理ユニット)への大規模アクセスをクラウド経由で提供する企業です。コア・サイエンティフィックからデータセンターのスペースをリースしており、昨年にも買収を試みた経緯があります。

今回の買収では、コア・サイエンティフィックの株主は保有株式1株あたり0.1235株のコアウィーブ株式を新たに受け取ることになります。この交換比率は、コア・サイエンティフィックの企業価値を90億ドル(1株あたり20.40ドル)と評価しています。

コアウィーブの最高経営責任者(CEO)マイケル・イントレイター氏は、「今回の買収は、AIおよびHPC(高性能コンピューティング)ワークロードの大規模展開戦略を加速するものだ」と述べています。また、運用効率の大幅な向上や将来の拡張におけるリスク低減も期待されているとのことです。

株式市場の反応と今後の見通し

この買収発表を受けて、コアウィーブの株価は7日の米国市場で3.5%下落しました(米国東部夏時間12:25現在)。一方、コア・サイエンティフィックの株価は16.6%の急落となっています。これは全株式交換による取引特有の売買動向によるものと見られています。

買収は規制当局の承認と株主の投票を経て、2025年第4四半期に完了する予定です。コアウィーブは、統合によって2027年末までに年間5億ドル以上のコスト削減が可能になると見込んでいます。

データセンター資産の統合がもたらす強み

今回の買収により、コアウィーブは約1.3ギガワットの総電力容量をデータセンター資産として追加します。さらに、将来的に1ギガワットの拡張可能な電力供給も確保できます。このうち既存の840メガワットは既にコアウィーブにリースされており、残りは仮想通貨マイニングに使われていました。

イントレイター氏は、バロンズのインタビューで「コア・サイエンティフィックが所有するデータセンター資産によって、資金調達コストの低下が見込まれる」と述べています。また、今後のAIサーバー設計においても、電力需要の増加に対応した設計自由度の高さが顧客の利益になると強調しました。

今後のM&A戦略とAIインフラ市場での展開

イントレイター氏は「我々は常に業界を監視し、顧客への価値提供や株主価値向上に貢献する非連続的な成長機会を探している」と述べ、今後も積極的にM&Aを行っていく方針を示しました。

ヨーロッパや中東など、海外の政府主導型AIプロジェクトに関しても、「適切な機会であればグローバルに対応する用意がある」と述べています。

アナリスト向けの説明会では、「この合併により、成長するAIインフラ市場において規模と影響力を持つプレイヤーとなれる」と強調されました。

エヌビディア最新AIサーバーの導入も発表

買収発表とあわせて、コアウィーブはエヌビディア(NVDA)の最新AIシステム「GB300 NVL72」を業界で初めて導入したことも明らかにしました。今後もエヌビディア製サーバーの電力需要に対応するデータセンター整備が急務となり、今回の買収はその布石としても位置づけられています。

コアウィーブの攻勢は、AIインフラ分野における新たな覇権争いを象徴するものといえます。今後の動向から目が離せません。

*過去記事「コアウィーブ、再び買収へ──AIインフラ拡大のカギを握るコア・サイエンティフィックとは

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