2025年7月2日、米国の主要株価指数S&P500(SPX)は、久しぶりに“予定外”の構成銘柄入れ替えを実施しました。今回、新たにインデックスに加わるのは、ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)ではなく、監視および分析ツールを提供するクラウド系ソフトウェア企業のデータドッグ(DDOG)です。
データドッグがS&P500に採用された背景
データドッグの採用は、ジュニパーネットワークス(JNPR)の除外によって空いた枠を埋めるものです。ジュニパーネットワークスはヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)による買収が完了し、S&P500から除外されることになりました。両社はいずれも情報技術セクターに分類されており、セクター内のバランスを保つためにも、データドッグの選出が適切と判断されたようです。
データドッグの企業概要と市場評価
データドッグは、開発者や運用担当者向けにネットワーク、データベース、アプリケーションなどのパフォーマンスを可視化・分析するソフトウェアを提供しています。2024年の売上は27億ドルに達し、2025年7月2日時点での時価総額は約470億ドルとなっています。
S&P500採用のニュースを受けて、データドッグの株価は時間外取引で10%以上上昇しました。今年に入ってからの株価は5.5%下落していましたが、今回の発表をきっかけに投資家の注目を集めています。
ロビンフッドやアプラビンはなぜ選ばれなかったのか?
6月初旬には、ロビンフッド・マーケッツがS&P500入りするとの予想も出ていましたが、実際には選ばれませんでした。また、広告技術企業のアプラビン(APP)も候補に挙がっていました。アプラビンの時価総額は1,140億ドルと、データドッグを大きく上回っていますが、ショートセラーによる批判的なレポートの影響もあり、慎重な判断が下されたと見られます。
*関連記事「2025年後半、S&P500採用が期待される5社とは?アプラビンやロビンフッドに注目」
S&P500採用には単なる時価総額以上の基準がある
S&P500は単に米国の時価総額上位500社で構成されているわけではありません。採用には、時価総額、利益水準、流動性などの複数の基準があり、これらを満たしても必ずしもインデックス入りできるとは限りません。指数委員会の裁量によって最終的な構成銘柄が決まる仕組みです。
今回のデータドッグの採用は、こうした多角的な基準とバランスを考慮した上での決定といえます。S&P500の構成銘柄は、投資信託やETFなどの資金流入にも大きな影響を与えるため、今後の株価動向に注目が集まります。
*過去記事はこちら データドッグ DDOG