クラウド型データベース企業のモンゴDB(MDB)の株価が2025年6月5日の米国市場で急騰しました。第1四半期の好調な決算と通期ガイダンスの上方修正を受けて、株価は一時15%以上上昇して238ドルとなり、年初来の下落分をほぼ取り戻す動きとなりました。
通期見通しを上方修正、売上・利益ともに市場予想を上回る
モンゴDBは2026年度の売上高予想を従来の22億4,000万ドル〜22億8,000万ドルから、22億5,000万ドル〜22億9,000万ドルへと引き上げました。調整後1株当たり利益も、これまでの2.44ドル〜2.62ドルから2.94ドル〜3.12ドルに上方修正しています。
また、2025年4月期の四半期決算では、売上高が前年同期比22%増の5億4,900万ドルとなり、アナリスト予想の5億2,800万ドルを上回りました。1株当たり調整後利益は1ドルとなり、こちらも予想の66セントを大きく上回っています。
MongoDB Atlasの成長と顧客基盤の拡大が明確に
主力製品であるクラウドベースのデータベースプラットフォーム「MongoDB Atlas」の成長が引き続き好調です。第1四半期には新たに2,600以上の顧客を獲得し、過去6年間で最大の増加数となりました。これはAtlasの導入拡大が業績を支えていることを示しています。
AIブームにおける競争環境の変化にも対応
データベース業界では現在、人工知能(AI)への対応をめぐって競争が激化しています。競合企業のスノーフレーク(SNOW)は今週、PostgreSQLを扱うスタートアップ企業Crunchy Dataの買収を発表しました。また、非上場のデータブリックスも先月、同様にPostgreSQL技術を手掛けるNeonを約10億ドルで買収すると発表しています。
こうした動きに対して、モンゴDBの経営陣は、AI用途において同社のデータベース構造がより優れていると強調しました。Cantorのアナリスト、トーマス・ブレイキー氏は、「MongoDBのプラットフォームはシンプルかつ包括的で、多様なデータセットやワークロードの管理においてコスト効率が高く、AIやエージェンティックAIの性能向上に寄与する」と述べ、目標株価を252ドルから271ドルへ引き上げました。
JSONとPostgreSQLの併存を予測するアナリストも
オッペンハイマーのアナリストであるイッタイ・キドロン氏は、「MongoDBとJSONフォーマットの競争力は健在であり、PostgreSQLとの共存も可能」と指摘し、アウトパフォーム評価を維持しつつ、目標株価を275ドルとしています。
自社株買いも発表、株主還元を強化
モンゴDBは新たに8億ドル規模の自社株買いプログラムも発表しており、株主還元姿勢の強化が市場に好感されています。今後もAtlasの成長動向やAI領域での戦略が注目されます。
*過去記事「モンゴDBの株価大暴落!それでも買うべき理由とは?」