半導体株が急騰!トランプ関税緩和報道とAMDの大躍進に注目集まる

  • 2025年3月25日
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3月24日の米国市場で半導体株が広範囲にわたって上昇し、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)はその中でも特に大きな上げ幅を記録しました。これは、トランプ大統領が計画している一部の関税について、その適用範囲を縮小する可能性があるとの報道が背景にあります。

フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.03%上昇し、ほとんどの構成銘柄がプラス圏で取引されました。中でもAMDの株価は6.96%上昇し、2024年2月29日以来となる好調な一日となりました。当時の上昇率は9.1%でした。

関税縮小が示す投資タイミングか?複雑な背景も

今回の半導体株の上昇は、投資家にとって「今が再び投資に踏み出すタイミングか?」という問いを投げかけるものとなりました。関税の緩和期待は確かにポジティブな材料ですが、別のリスク要因も浮上しています。それが、人工知能(AI)関連の半導体に対する輸出規制です。

メリウス・リサーチのアナリストであるベン・ライツェス氏は、現在の半導体業界にとって最も大きな懸念事項は、バイデン政権が退任直前に発表した「AI拡散規制」に対して、トランプ大統領がどのような対応を取るかであると指摘しています。

この規制は、AIチップの販売に新たな審査や制限を設けるもので、たとえ同盟国への輸出であっても影響を受ける可能性があります。

エヌビディアへの影響と中国への対応

このAIチップ規制が特に大きな影響を与えると見られているのがエヌビディア(NVDA)です。ライツェス氏は、「この問題の本質は、中国のAI能力をどう制限するかという点にある」と述べています。現在の規制は2025年5月13日に施行される予定であり、それまでにトランプ政権が方針を変更するかどうかが注目されています。

仮に現状維持の姿勢が取られた場合、エヌビディアの売上に影響が出る可能性があるとして、市場の不安材料となっています。

マイクロソフトも規制に反対の声

この規制に対しては、マイクロソフト(MSFT)も反対の立場を取っています。同社の副会長兼社長であるブラッド・スミス氏は、規制が過剰であるとするブログ投稿を公開しました。スミス氏は、「このルールは、同盟国を『第2カテゴリ』に分類し、AIデータセンターの構築に量的制限を課すものであり、必要以上に厳しい」と指摘しています。

ブロードコムとマーベル・テクノロジーは影響軽微

一方で、ライツェス氏はブロードコム(AVGO)マーベル・テクノロジー(MRVL)については今回の規制の影響を大きく受けないと見ています。ブロードコムのAIチップはバイトダンス(TikTokの親会社)向けであっても制限値を下回っており、その他の主要顧客も米国内に多く存在しているためです。

AMDに追い風、オラクルとの契約が好材料に

AMDにとっては、AIアクセラレーターチップの分野で明るい材料がありました。オラクル(ORCL)が同社の最新GPU「MI355X」を30,000台発注したことが明らかとなり、これは新たなデータセンター構築の一環であると説明しています。この取引は数十億ドル規模にのぼり、AMDにとって大きな売上増の契機となります。

ライツェス氏は「このオラクルとの契約は、2026年に登場予定の次世代アクセラレーター『MI400』への関係拡大の始まりかもしれない」としています。

まとめ:半導体株は復調の兆しか、政策の行方に注目

今回の上昇は、半導体株全体の見直し機運を高めるものでしたが、AIチップ規制の行方が今後の展開に大きく影響することは間違いありません。特にエヌビディアのようなAI依存度の高い企業にとっては、規制の継続が売上の重しとなる可能性があります。一方で、AMDのように追い風を受けている企業もあり、銘柄ごとの見極めが今まで以上に重要になっています。

投資判断を下す際は、政策動向や規制の影響を冷静に見極めながら、個別企業のファンダメンタルズをしっかりと確認していく必要があります。

*過去記事はこちら  AMD

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