アクソン・エンタープライズ(AXON)は、2024年にS&P500指数の中で最も優れたパフォーマンスを見せた銘柄の一つであり、株価は年間で130%上昇しました。過去10年間にわたっても堅調な成長を続けており、投資家の注目を集めています。
法執行機関向けのテクノロジーで圧倒的な存在感
アクソン・エンタープライズは、法執行機関向けのテクノロジーを手がける業界のリーダーです。同社は、テーザー型の導電性電気武器、ボディカメラやダッシュボードカメラの開発・製造を行っており、加えて証拠・記録管理を支援する複数のクラウド型ソフトウェアを提供しています。
さらに、最先端の人工知能(AI)技術にも注力しており、最近では「Draft One(ドラフト・ワン)」という生成AIツールを導入しました。このツールは、ボディカメラやダッシュボードカメラの映像から警察報告書の初稿を自動生成するもので、現場の警察官から高い評価を得ています。時間の大幅な短縮につながるため、実務効率の向上にも貢献しています。
フロック・セーフティとの契約解消で株価が急落
2025年2月中旬、アクソンはフロック・セーフティとの提携を契約上の問題で解消したと報じられ、株価は急落しました。しかし、2月25日に行われた2024年第4四半期の決算説明会では、アクソン経営陣が両社間で新たな条件による再交渉の可能性に言及しました。
同時に発表された決算内容は市場予想を上回る結果となり、株価は一定の回復を見せました。ただし、年初に記録した過去最高値からは依然として約25%下落した水準にあります。
高バリュエーション銘柄への売り圧力が続く
現在の市場環境では、アクソンのようなプレミアムバリュエーション(高評価)の銘柄に対して売り圧力がかかりやすい状況です。アクソンの株価は、売上高に対する価格比率(P/S)が21倍、株価収益率(PER)は120倍を超える水準にあり、割高感が意識されやすくなっています。
景気に左右されにくい顧客基盤と政策的な追い風
それでもなお、アクソンには注目すべき優位性があります。第一に、主な顧客は地方自治体や州の法執行機関であり、一般企業に比べて景気変動の影響を受けにくい特徴があります。また、トランプ政権が掲げる公共の安全や移民取締りの強化といった政策も、アクソンの製品・サービスに対して追い風となる可能性があります。
強固な製品ポートフォリオと成長見通し
アクソンは、ハードウェアとソフトウェアが連携する強固な製品群を有しており、競争優位性が際立っています。経営陣は2025年の売上を前年より25%増加させ、25億5,000万ドルから26億5,000万ドルの範囲を見込んでいます。この見通しは、市場の変動があっても同社の成長が続くことを示唆しています。
現在の株価下落局面は、長期的な成長を期待する投資家にとっては魅力的な買い場となる可能性があります。
*過去記事はこちら アクソン AXON