アドビ(ADBE)は3月12日に2025年第1四半期の決算を発表し、売上・利益ともに市場予想を上回る結果となりました。しかし、決算発表後の時間外取引で株価は4.4%下落しました。その要因について詳しく解説します。
アドビの2025年第1四半期決算の概要
アドビの2025年第1四半期の調整後1株当たり利益(EPS)は5.08ドル、売上は57.1億ドルとなり、アナリストの予想(EPS 4.97ドル、売上56.6億ドル)を上回る結果となりました。
前年同期の実績と比較すると、2024年第1四半期のEPSは4.48ドル、売上は51.8億ドルだったため、売上・利益ともに大きく成長しています。
CFOのダン・ダーン氏は、決算について「非常に好調な四半期だった」と述べ、イノベーションの提供とその活用、そして収益化の進捗に自信を示しました。
株価下落の要因
市場予想を上回る好決算にもかかわらず、アドビの株価は時間外取引で4.4%下落しました。その背景には、2025年の年間売上・利益見通しが市場の期待を下回ったことが挙げられます。
アドビは2025年の売上見通しを233億ドル~236億ドル、調整後EPSを20.20ドル~20.50ドルと発表しました。これは市場予想の売上235億ドル、EPS 20.39ドルと比較するとやや低い数字となっています。
また、投資家はアドビのAI戦略の進捗にも注目しており、AI関連の収益化のペースに対する懸念も影響したと考えられます。
AI分野の進捗と今後の成長戦略
アドビのAIファースト製品は、四半期の終値ベースで1億2500万ドルの年間経常収益(ARR)を生み出しました。同社はこのARRを2025年内に2倍にすることを目標としています。
ダーン氏は、「ARRの成長が今後の売上の予測に直結するため、次の3四半期でさらに多くの顧客と連携し、成長を加速させる」とコメントしました。
マクロ環境の影響とアドビの戦略
最近、テクノロジー株全体が不安定な経済環境の影響を受けており、ソフトウェア企業も例外ではありません。消費者や企業の支出が抑制されると、アドビのようなサブスクリプションモデルの企業にとって影響が出る可能性があります。
しかし、ダーン氏は「不確実な状況では、企業がコントロールできる要素に集中し、機敏に対応することが重要」と述べており、アドビの強みであるイノベーションと収益化の推進を続ける方針を示しました。
まとめ
アドビの2025年第1四半期の決算は市場予想を上回る好結果となりましたが、年間見通しがやや期待を下回ったことやAI事業の成長ペースへの懸念から、株価は時間外取引で下落しました。
しかし、同社はAI事業の成長に注力し、ARRの拡大を進める方針を示しており、今後の売上成長にも期待が集まります。今後の四半期での進捗に注目が必要です。
*過去記事「アドビの株価が下落:第1四半期の売上見通しが期待外れ」