アドビ(ADBE)の株価が、第1四半期の売上見通しが市場予想を下回ることを受け、12月12日のプレマーケット取引で10.1%下落し、494.50ドルとなりました。
アドビは、第1四半期の売上が56億3000万ドル〜56億8000万ドルになるとの見通しを発表しましたが、これはファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想である57億2000万ドルを下回る内容でした。また、2025年度の売上見通しも233億ドル〜236億ドルと予測され、これも市場予測の238億ドルを下回りました。
第4四半期の結果は予想を上回る
アドビの第4四半期の調整後利益は、1株あたり4.81ドルと発表され、ウォール街の予想である1株あたり4.67ドルを上回る結果となりました。同四半期の売上も56億1000万ドルで、予想の55億4000万ドルを超える水準でした。前年同期の売上は50億5000万ドル、1株あたり利益は4.27ドルでした。
特に注目されたのは、アドビのデジタルメディア部門の成長で、このセグメントの売上は前年同期比12%増の42億ドルとなりました。
CFOのコメントとデジタル経済におけるアドビの役割
アドビの最高財務責任者(CFO)であるダン・ダーン氏は、同社のイノベーションのスピードを強調しました。ダーン氏は「アドビのエコシステムが広がり続け、デジタル経済を形成する重要なトレンドを推進してきたことを考えると、現在はアドビにとって最適な時期であると感じています」と述べています。
ウォール街では、AI関連製品に対する需要の高まりを背景にソフトウェア企業が注目を集めています。たとえば、セールスフォース(CRM)の株価は、AIエージェントへの期待から今年に入って35%上昇しました。
アドビの株価パフォーマンスとAI収益化への取り組み
一方で、アドビの株価は2024年の市場全体の上昇に比べて振るいません。ナスダック総合指数が33%上昇したのに対し、アドビの株価は7.8%下落しています。同業のソフトウェア株が軒並み上昇する中、アドビの動向は目立たない結果となっています。iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウェア・セクターETFは、2024年に約33%の上昇を記録しました。
アナリストの間では、AIによる収益化が進んでいないことが懸念されています。サード・ブリッジのアナリストであるチャーリー・マイナー氏は、「市場がAIによる混乱への懸念を克服する一方で、アドビがAI収益化における明確なリーダーとなるのは依然として難しい状況です」とコメントしました。
AI収益化とユーザーの成長
ダーンCFOによると、AIによる収益化はまだ取り組みの初期段階にあるものの、企業全体に大きな影響を与えています。同氏はまた、月間アクティブユーザー数が前年同期比で25%増加し、当四半期では約6億5000万人に達したことを強調しました。
しかし、ウォール街はAI収益化に関するさらなる具体性を求めています。アドビがAI関連製品でリーダーシップを発揮するためには、より明確な成長戦略と収益の成果が必要とされています。
アドビの今後の成長にはAI関連製品やデジタルメディア部門の強化が鍵となります。同時に、市場の期待に応える売上成長を示すことで、投資家の信頼を取り戻すことが求められています。