ウォール街では、人工知能(AI)インフラへの支出減少の可能性が懸念されています。しかし、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストであるヴィヴェク・アーヤ氏は、エヌビディア(NVDA)の投資家はより具体的な話題、特に粗利益率の動向に注目すべきだと指摘しています。
エヌビディアの粗利益率と株価の関係
アーヤ氏は、顧客向けのメモの中で、エヌビディアの粗利益率が今後の株価反発の鍵になると述べています。
「エヌビディアの株価は2024年6月にピークに達したが、それはHopper製品サイクルにおける粗利益率が79%前後で最高値を記録した時期と重なっている」と同氏は分析しています。「振り返ってみると、79%という水準は異常に高いものだった。しかし、粗利益率が70%台半ばであれば、より持続可能なトレンドに近いと考えられる。」
最新の四半期では、エヌビディアの粗利益率は73%となりました。これは、新製品ラインであるブラックウェルへの移行による影響を受けた結果です。
エヌビディアの株価動向と今後の見通し
3月12日の米国市場の午前中の取引では、エヌビディアの株価が5%上昇し、10日の市場急落による下落からさらに回復しました。しかし、2025年に入ってからエヌビディアの株価は約15%下落しています。
また、同社の次世代プラットフォームであるブラックウェルの導入に伴うコスト増加と遅延が問題となっています。この影響で、システム全体の設計に大幅な変更が求められましたが、今後はより管理しやすくなると考えられています。
アーヤ氏は、エヌビディアの粗利益率が2025年度の第1四半期に底を打ち、年度後半には70%台半ばまで回復すると予想しています。
AI市場での競争激化とエヌビディアのシェア維持
AIサーバーチップ市場では、ブロードコム(AVGO)などの企業による特定用途向け集積回路(ASIC)との競争が激化しています。それにもかかわらず、アーヤ氏はエヌビディアが市場シェアの80~85%を維持できると予測しています。
また、アーヤ氏はエヌビディアの株式を「買い」と評価し、目標株価を200ドルに設定しました。
GTCカンファレンスで発表が期待される新製品
エヌビディアは、来週開催されるGTCカンファレンスで今後の製品パイプラインについて発表する予定です。アーヤ氏によると、同社は「予想通りではあるが魅力的な」ブラックウェル・ウルトラ・シリーズの詳細を明らかにするとみられています。
さらに、次世代チップとなるRubin(ルービン)製品ファミリーのアップデートについても情報が提供される可能性があります。加えて、自律走行車や量子コンピューティングなどの長期的な技術戦略についても発表されると考えられています。
まとめ:エヌビディアの投資家が注目すべきポイント
エヌビディアの投資家は、AIインフラへの支出動向以上に、粗利益率の回復に注目することが重要です。特に、2025年度後半に向けた利益率の回復と市場シェアの維持が、株価に大きく影響すると考えられます。
GTCカンファレンスでは、同社の今後の成長戦略や新技術に関する発表が予定されており、投資家にとって重要なイベントとなりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA