エヌビディア（NVDA）はAIブームの中心にある企業であり、過去数年間で飛躍的な成長を遂げました。特にデータセンター向けのGPU市場では圧倒的なシェアを持ち、企業のAI関連投資の恩恵を受けています。しかし、2025年に入り株価は調整局面にあり、投資家の間でエヌビディアの適正評価について議論が活発になっています。
米国の有力投資メディア「バロンズ」は最近の記事で、エヌビディアの現在の株価水準について言及しました。その内容を踏まえつつ、本記事では独自の視点を加え、エヌビディアの投資妙味について考察していきます。
エヌビディアの現在の評価水準
エヌビディアの2025年度の売上は1,305億ドルに達し、前年同期比114%の成長を記録しました（出典：ダウ・ジョーンズ・マーケット・データ）。この驚異的な成長を背景に、2023年5月には株価収益率（PER）が62.65倍に達しましたが、2025年現在のPERは23.3倍まで低下しています。これは、過去5年間の平均40倍を大きく下回る水準です。
この数値だけを見ると、エヌビディアは割安に見えます。しかし、PERが低下している背景には、投資家の成長期待の変化が関係している可能性があります。バロンズの記事では、市場全体の不透明感やAIブームの一巡を指摘する声があることが報じられており、特にチップ輸出規制の強化懸念が投資家の慎重姿勢を助長しているとされています。
エヌビディアは本当に割安なのか？他社との比較
エヌビディアのPER23.3倍という水準は、他のハイテク企業と比較すると依然として低い部類に入ります。例えば、同じ半導体企業のブロードコム（AVGO）は27倍、インテル（INTC）は31倍で取引されています。さらに、ソフトウェア・クラウド関連企業であるクラウドストライク（CRWD）のPERは90.7倍と非常に高く、ネットフリックス（NFLX）やパロアルトネットワークス（PANW）もそれぞれ34.6倍、51.2倍となっています。
一方で、エヌビディアはAIブームの主役であり、企業のAI関連投資が今後も継続することを考慮すると、将来的に売上のさらなる拡大が期待できる企業です。バロンズの記事でも、「AIの投資サイクルはまだ終わっていない」とする専門家の見解が紹介されており、エヌビディアの成長余地に対する期待は依然として高いことが伺えます。
市場環境の変化とエヌビディアのリスク
エヌビディアの株価が2025年に入ってから14%下落した背景には、米国の貿易政策や景気後退懸念があります。特に、トランプ大統領の通商政策により、半導体輸出規制が強化される可能性があることが、投資家心理に影響を与えています。
また、エヌビディアの競合であるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ（AMD）が市場シェアを拡大している点も、同社の成長に対する潜在的なリスクとして考えられます。さらに、AIを活用するデータセンターの設備投資が鈍化する可能性があることも、今後の売上成長に影響を与える要因となり得ます。
長期投資の観点からエヌビディアをどう見るべきか
エヌビディアの株価は短期的な変動に左右されているものの、長期的な視点で見れば、AI市場の拡大とともに成長を続ける可能性が高いと考えられます。バロンズの記事では、投資家がエヌビディアの短期的なリスクよりも、長期的なAI市場の成長を重視すべきだとする専門家の意見が紹介されていました。
特に、エヌビディアのGPUはAIモデルの開発・運用に不可欠な存在であり、今後も企業のAI投資の中核を担う可能性があります。仮に短期的な市場の変動が続いたとしても、AI関連の需要が根強い限り、エヌビディアの成長ストーリーは崩れないと見られています。
まとめ：エヌビディアは今後も投資妙味のある銘柄か？
現在のエヌビディアの株価は、過去の水準や他のハイテク銘柄と比較しても割安に見えます。しかし、短期的な市場の不透明感や競争環境の変化を考慮すると、慎重な投資判断が求められます。
バロンズの記事では、エヌビディアの割安感に注目しつつも、貿易政策や市場環境の変化が今後の成長に影響を及ぼす可能性があることが指摘されていました。一方で、AI市場の成長が続く限り、エヌビディアの優位性は維持されるとの見方もあり、長期的には依然として魅力的な投資対象であると考えられます。
投資判断を下す際には、AI市場の成長性やエヌビディアの技術的優位性を十分に考慮しつつ、短期的なリスクにも目を向けることが重要です。今後の市場動向を注視しながら、エヌビディアの動向を見極めていくことが求められています。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA