エヌビディアの株価、5年後の行方は?マーケットウォッチの分析を深掘り!

米国株市場において、成長企業の株価が必ずしも投資に適しているとは限らないことを示す好例として、エヌビディア(NVDA)の最近の動向が挙げられます。米国の投資情報メディア マーケットウォッチ(MarketWatch) は、エヌビディアの株価と業績の関係について興味深い分析を行いました。

この記事では、マーケットウォッチの記事「What Nvidia’s market valuation says about where the stock will be in 5 years」を紹介しながら、エヌビディアの今後の株価動向や投資判断のポイントを解説します。

エヌビディアの業績と株価のギャップ

マーケットウォッチの記事によると、エヌビディアの売上はこの1年間で 800%以上 増加しました。これは驚異的な成長率であり、同社がAI市場の中心的存在であることを裏付けるものです。しかし、2月26日に発表された決算の後、株価は下落 しました。

なぜ業績がこれほど好調なのに、株価が下がるのでしょうか?マーケットウォッチは、その理由を「投資家の期待がすでに高すぎたため」と分析しています。つまり、市場は エヌビディアの完璧な成長を既に織り込んでいた ため、少しでも期待に届かなければ株価が下落するという現象が起きたのです。

クアルコムの例:成長と株価は比例しない

マーケットウォッチの記事では、過去の例として クアルコム(QCOM) の事例が紹介されています。

2000年にクアルコムに投資していたとしたら、企業の成長を考えれば素晴らしい決断だったはずです。なぜなら、同社の売上はこの23年間で 60倍 に成長しました。しかし、株価のリターンは 年率2.8% と、S&P500の平均を大きく下回りました。

これは、当時の投資家が「クアルコムはこれから大きく成長する」と予想し、株価が既に割高になっていたためです。つまり、「優良企業=優良株」ではなく、「適正な価格で買えるかどうか」が投資の成否を分けるのです。

P/E比率を使ってエヌビディアの将来を評価する

マーケットウォッチの記事では、エヌビディアのバリュエーション(企業価値の評価)について、株価収益率(P/E比率) を用いた分析を行っています。

企業のバリュエーションを評価する方法はいくつもありますが、その中でもP/E比率はシンプルで有効な指標の一つです。期待するリターンと予想される将来の1株当たり売上(EPS)をもとに、将来のP/E比率を計算し、その妥当性を判断することができます。

たとえば、過去1年間のエヌビディアの株価上昇率(2025年時点)は58.0%でした。これが今後も続くと仮定すると、2030年のEPS予測(ファクトセットによると8.10ドル)に基づいたP/E比率は146になります。現在のP/E比率は約42.5であり、これはすでに高水準です。したがって、2030年にP/Eが146という数値は、現実的とは言えないとマーケットウォッチは述べています。

一般的に、大型株が長期にわたって急成長を続けることは難しく、「大数の法則」 により成長率は次第に鈍化します。現在、エヌビディアの時価総額は3兆ドルに達しており、10年前の120億ドルから大幅に拡大しました。この規模の企業が今後も同じ成長率を維持するのは極めて困難だとマーケットウォッチは断じています。

2030年のエヌビディアの株価はどうなるか?

マーケットウォッチの記事では、エヌビディアの2030年のP/E比率が 28.2 になると仮定すると、今後5年間の年率リターンは13.0% になると試算しています。

13.0%のリターンは決して低くはない ものの、S&P500の平均リターンと比較すると「市場平均を大きく超える投資先」とは言い切れません。さらに、現在のエヌビディアのバリュエーションがすでに高いため、投資家にとってのリスクも大きくなります。

エヌビディア株に投資すべきか?マーケットウォッチの結論

マーケットウォッチの記事では、「投資は確率のゲームであり、確実な未来を予測することはできない」 と述べています。しかし、適切なバリュエーションを考慮することで、より現実的な投資判断を下すことが可能です。

エヌビディアは今後も成長を続ける可能性が高いと多くのアナリストが評価していますが、現在の株価がすでにその成長を織り込んでいるため、「株価が思ったように上昇しない」リスクがあることを理解しておく必要があります。

まとめ

  • エヌビディアの売上は急成長しているが、株価はすでにその成長を織り込んでいる。
  • クアルコムの例のように、業績が成長しても株価が伸びないケースがある。
  • P/E比率を活用し、将来の株価水準を現実的に評価することが重要。
  • エヌビディアのP/Eが2030年に28.2になると仮定すると、年率リターンは13.0%程度。
  • 成長企業でも割高な株は期待通りのリターンを得られない可能性がある。

投資家として重要なのは、「企業の成長」と「株価の成長」を混同しないことだという重要な示唆をマーケットウォッチの記事は与えています。過去のパフォーマンスだけでなく、現在のバリュエーションや市場環境を冷静に分析し、適切な投資判断を行うことが求められます。

投資を検討する際には、企業の業績だけでなく、「現在の株価が妥当かどうか」 をしっかりと分析することが、投資が成功するための鍵となるとマーケットウォッチの記事は主張しています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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