マグニフィセント・セブンのトレードが精彩を欠いています。特にアルファベット(GOOG, GOOGL)やアマゾン(AMZN)の株価が下落し、ラウンドヒル・マグニフィセント・セブンETF(MAGS)も過去5取引日で2.4%下落しました。これは、テクノロジーセクター全体の不安定な動きを反映したものといえます。
市場の懸念は、大規模な設備投資計画や競争環境の変化、特にオープンソースの大規模言語モデルの台頭により、投資家のセンチメントが揺らいでいることにあります。特に、中国のAI企業ディープシークの動向が、投資家の間で議論を呼んでいます。
ディープシークの登場は逆風か、それとも新たなチャンスか
ディープシークのR1モデルの登場により、AI市場には新たな局面が訪れています。一部の投資家はこれを懸念材料と捉えていますが、業界関係者の見解は異なります。
元OpenAIの社員であるザック・カス氏は「ディープシークの開発は科学の進歩であり、AIの普及を加速させる可能性がある」と述べています。また、アルファベットのスンダル・ピチャイCEOは決算説明会で「業績はとてつもない」と評価し、メタ・プラットフォームズ(META)のマーク・ザッカーバーグCEOも「ディープシークの影響について分析を進めている」とコメントしています。
このように、トップ企業のリーダーたちはディープシークの出現をネガティブには捉えておらず、むしろAI市場のさらなる発展のきっかけになると考えているようです。
AIの次の成長フェーズと注目すべき企業
AI市場が次の成長フェーズに進む中で、ハイパースケールのデータセンターや半導体企業以外の分野にも注目が集まっています。特に、AIネットワーク株と呼ばれる分野が、今後の成長をけん引する可能性があります。
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、チュン・ヒム・チャン氏は、「計算コストが下がることでAIの採用が広がり、AI関連のインフラ需要が強くなる」と予測しています。特に、データの処理・転送を担うネットワーク企業に注目が集まっています。
T.ロウ・プライスのポートフォリオ・マネージャーであるトニー・ワン氏は、「AIインフラのボトルネックはネットワーク技術の面にある」と指摘し、さらなるイノベーションが必要であると述べています。
AI成長を支えるネットワーク銘柄5選
以下の5つの企業が、AIネットワーク分野で大きな役割を果たすと考えられています。
シエナ(CIEN)
シエナはハイパースケール企業からの需要が拡大しており、AIワークロードの効率向上に貢献する企業として期待されています。AIデータセンターの成長に伴い、同社のソリューションがますます求められるでしょう。
コヒレント(COHR)
コヒレントは、光通信技術を活用し、高速ネットワークの構築を支援しています。AIワークロードの増加に伴い、同社の技術が重要な役割を果たすと見られています。
セレスティカ(CLS)
セレスティカは、ハイパースケール企業向けにサーバーやネットワーク機器を供給しており、カスタムコンピュート技術の進化に伴い成長が期待されています。
アリスタネットワークス(ANET)
アリスタネットワークスは、AI向けの高性能ネットワークインフラを提供しており、今後のAI需要の拡大とともに成長が見込まれます。モルガン・スタンレーのアナリスト、メタ・マーシャル氏は、同社の株価を「オーバーウェイト」に格付けし、2月18日の決算発表に注目しています。
マーベル・テクノロジー(MRVL)
マーベル・テクノロジーは、AIデータセンター向けの高速通信チップを開発しており、今後のAIインフラの発展に貢献すると期待されています。特に、同社のカスタムチップはハイパースケール企業に採用される可能性が高いと見られています。
AI市場の次の動向を見極める
ディープシークの登場によって、AI市場はさらなる競争と進化の局面に入っています。一部の投資家が懸念するように、オープンソースAIの台頭が一部企業の競争力を弱める可能性もあります。しかし、それと同時に新たな成長機会をもたらしているのも事実です。
特にAIネットワーク企業は、今後の市場成長を支える重要なプレイヤーとなりそうです。AI関連のデータがデータセンターを超えて広がる中で、データ転送の課題を解決する技術を持つ企業は、大きな売上成長を生み出す可能性があります。
投資家にとって、今後のAI市場の成長に注目しながら、AIネットワーク関連企業の動向を見極めることが重要です。今後の決算発表や業界のトレンドをチェックしながら、適切な投資戦略を立てていくことが求められます。