米国の経済メディア、ブルームバーグは1月31日、アップル（AAPL）が拡張現実（AR）メガネの開発プロジェクトを中止したと報じました。この記事では、ブルームバーグの報道を紹介しながら、アップルが直面した課題や市場の動向、今後の展開について詳しく解説します。
ARメガネ「N107」の開発中止
ブルームバーグの報道によると、アップルは今週、ARメガネ（コードネーム：N107）の開発を正式に中止しました。この製品は、一見すると普通のメガネのように見えますが、内蔵ディスプレイを搭載し、Macと接続して使用することを想定していました。
しかし、開発が進む中で技術的な課題とコストの問題が浮上しました。アップルは、iPhoneとの接続を目指していましたが、スマートフォンの処理能力やバッテリー寿命の制約に直面し、最終的にMacとの連携へと変更されました。しかし、Macと接続する方式でも性能が十分でないことが判明し、プロジェクトの継続が困難となりました。
Vision Proの販売不振と新たな戦略
アップルは、2024年に3,499ドルのVision Proを発売しました。しかし、高額な価格設定や使用用途の制限により、一般消費者の間での普及が進んでいません。特に、購入者の多くが製品を期待したほど頻繁に使用していないという点が問題視されています。
Vision Proの売上が期待を下回る中、アップルはより手軽に使えるARメガネの開発を進めていました。しかし、技術的な課題が解決されず、最終的にN107プロジェクトの中止が決定されました。アップルは現在、Vision Proの後継モデルの開発に注力しているほか、カメラ付きAirPodsなど新たなウェアラブルデバイスの開発も進めています。
メタとの競争と市場の展望
今回のアップルのARメガネ開発中止により、メタ・プラットフォームズ（META）が市場で優位に立つ可能性があります。メタはすでにレイバンブランドのスマートグラスを販売しており、さらに2027年までにAR機能を追加したモデルを投入する計画を進めています。
メタの開発中のARメガネ（コードネーム：Orion）は、ワイヤレスパッドに接続する仕様であり、完全なスタンドアロン型メガネに近づいているとされています。開発者向けテストユニットの販売は2026年に開始予定で、2027年には一般消費者向けモデル（コードネーム：Artemis）が登場するとみられます。
一方、アップルはN107に代わる新たなAR技術の開発を継続すると報じられています。カスタム仕様のmicroLEDスクリーンなど、将来的にARメガネに活用できる技術の研究を進めているとのことです。
ARメガネ市場の未来
ARメガネの最終目標は、スマートフォンやPCなしで独立して動作するデバイスの開発です。現在、メタ、アルファベット（GOOGL）、マイクロソフト（MSFT）などの企業が次世代ARメガネの開発競争を繰り広げています。
アップルのARメガネ開発中止は一時的な撤退に過ぎず、将来的にはより洗練された技術で市場に再挑戦する可能性が高いと考えられます。今後、アップルがどのような新技術を投入し、メタやグーグルとの競争をどう展開していくのか、注目が集まります。
まとめ
ブルームバーグの報道によると、アップルはARメガネ（N107）の開発を中止しました。技術的な制約やコストの問題が原因で、一般消費者向けの製品化が困難だったとされています。
一方で、メタやグーグルはARメガネ市場への参入を加速しており、アップルの撤退によって市場での競争がさらに激化する可能性があります。アップルは、今後もAR技術の研究開発を続け、次世代のウェアラブルデバイスで再び市場に挑戦することが予想されます。
ARメガネ市場の未来がどうなるのか、今後の展開に注目です。
＊過去記事はこちら アップル AAPL