ノボノルディスク(NVO)は1月24日に、新しい体重減少薬に関する初期段階のデータを発表しました。このデータによると、現在市場で利用可能な肥満症治療薬よりも効果が高い可能性が示唆されています。この発表を受け、ノボノルディスクの株価は急上昇しました。24日の米国市場朝、10時45分過ぎの段階で7.7%高の87.33ドルで取引されています。
ノボノルディスクの株価動向と市場競争
ノボノルディスクの米国預託証券(ADR)は、2024年後半から2025年初頭にかけて38%の下落を経験しました。この背景には、同社のGLP-1減量薬市場での地位がライバル企業であるイーライリリー(LLY)に奪われたことが影響しています。特に、ノボ社の実験的減量注射薬「カグリセマ」のデータが期待を下回り、多くの投資家が同社株を手放しました。
しかし、今回発表された新薬「アミクレチン」に関するデータは、同社にとって市場競争を有利に進める重要な契機となり得ます。
アミクレチンの試験データと競争力
アミクレチンはGLP-1およびアミリン受容体アゴニストという新しい薬剤で、体重管理をサポートする複数のホルモンを活用しています。フェーズ1b/2a試験において、最高用量を投与された患者は36週間後に体重の22%を減少させる結果が得られました。
TDカウエンのアナリスト、マイケル・ネデルコビッチ氏はこのデータについて「非常に印象的」と評価し、ライバルのイーライリリーが開発したゼップバウンドの試験データよりも約4%優れていると指摘しています。ゼップバウンドは現在、市場で最も効果的な減量薬として知られています。
アミクレチンがゼップバウンドを上回る効果を示す場合、ノボノルディスクは減量薬市場でのシェア回復を果たす可能性があります。
安全性プロファイルと課題
安全性プロファイルはアミクレチンの成功を判断する上で重要です。ノボノルディスクによると、アミクレチンの安全性は「インクレチンをベースとした治療に一致」しており、主な副作用は消化器系に関するもので「軽度から中等度」とされています。しかし、高用量での胃腸障害のリスクが懸念されており、詳細なデータが必要です。
ノボノルディスクの今後の展望
ノボノルディスクは今回のデータを受けて、過体重および肥満の成人を対象としたアミクレチンのさらなる試験を計画しています。また、錠剤版アミクレチンの試験も進めており、2024年に発表された初期結果では有効性が高いとされていますが、忍容性に関する課題が残されています。
今回の試験データは、ノボノルディスクにとって市場シェアを取り戻す上で重要なステップとなりそうです。同社の革新的なアプローチがGLP-1減量薬市場の競争環境にどのような影響を与えるか、引き続き注目されています。