2024年の半導体株式市場は、これまでの周期的な動きとは異なる展開を見せています。特にAIデータセンター関連銘柄が市場をけん引する一方、それ以外のセクターは低迷しています。しかし、12月27日の米国市場では、その流れに変化が見られました。
フィラデルフィア半導体株指数の2024年パフォーマンス
2024年、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は年初来で22%上昇しましたが、これはS&P500(SPX)の27%上昇を下回っています。ただ、この指数の裏には、企業ごとの異なる結果が隠れています。
例えば、エヌビディア(NVDA)の株価は年初来で174%も上昇していますが、インテル(INTC)は60%下落しています。このコントラストが、今年の半導体市場の特徴を象徴しています。
AIデータセンター銘柄が市場をリード
2024年、半導体市場をけん引したのは以下の5銘柄です:
- エヌビディア(NVDA)
- ブロードコム(AVGO)
- 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)
- マーベル・テクノロジー(MRVL)
- アーム(ARM)
これらの銘柄は、年初来平均108%の上昇を記録しています。一方、SOX指数の他の24銘柄は平均11%の下落となっています。
27日の取引では、SOX指数構成銘柄が全て値を下げました。特にAI関連の5銘柄は平均2.2%の下落、それ以外は平均1.3%の下落を記録しました。この動きは、AIデータセンター関連銘柄への投資が減少しつつある兆候かもしれません。
AIデータセンター投資の見直しが始まる
D.A.デビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏は次のように指摘しています。
「投資家はAI技術の成熟を受けて、半導体企業の売上予測を再評価し始めています。最先端の大規模言語モデルが技術的な限界に達し、小規模なモデルが成長する中で、2025年以降も大規模なデータセンターの建設が続く可能性は低くなりつつあると考えられます。」
2024年は、PCやスマートフォン、自動車、産業機器向けのチップ需要が低迷し、AI関連株が投資家の焦点となりました。2025年には、その状況が逆転する可能性が指摘されています。
2025年の半導体市場に期待
2024年のAIデータセンター銘柄の勢いが鈍化しつつある中、他のセクターがどのように成長するのか注目が集まります。PCや自動車、産業機器向けチップ需要が回復すれば、2025年の半導体市場は新たな局面を迎える可能性があります。
今後の半導体市場の行方を見守りつつ、投資判断をすることが重要といえます。