ビデオゲーム業界は、パンデミックの最中に急成長しましたが、近年はアメリカ人がコンサートや旅行といった対面式の活動に多額の費用を費やしたことで停滞を余儀なくされています。これに伴い、テイクツー・インタラクティブ(TTWO)やエレクトロニック・アーツ(EA)を含む業界全体でレイオフが進んでいます。
しかし、ネッド・デイビスのアナリストであるパット・チョシク氏とフィリップ・モールス氏は、業界の見通しが明るくなる可能性を指摘しています。同氏らは、ビデオゲーム業界への投資を推奨し、「パンデミック後の売上と収益性の底打ちが見込まれることで、持続的な成長が期待できる」と述べています。
テイクツー・インタラクティブと『GTA VI』の期待
特に注目されているのが、モバイルゲーム大手Zyngaを所有するテイクツー・インタラクティブです。同社は2024年に市場全体の利益率約26%に対し約14%の利益にとどまる苦戦を強いられましたが、2025年第4四半期に予定されている『グランド・セフト・オートVI(GTA VI)』の発売が業界を大きく押し上げると期待されています。10年以上ぶりの主力ゲームの新作となるこのタイトルは、同社の売上に大きな影響を与える見込みです。
これまでの歴史から、テイクツーの株価は『GTA』シリーズの新作が発売される12か月間で中央値約30%の上昇を記録しており、今回も同様の動きが予想されています。
ただし、リスクも存在します。モーニングスターのアナリスト、マイケル・ホーデル氏は「GTA VIが期待に応えられなかった場合、その制作費の高さを考慮すると、深刻な影響が避けられない」と警鐘を鳴らしています。
他メーカーの新作も業界を支える
テイクツーだけでなく、他のメーカーも注目を集めています。フランスのパブリッシャーであるユービーアイソフトは、人気シリーズ「アサシン クリード」の新作を今冬に発売する予定です。また、任天堂はビデオゲーム機「Switch」の新世代モデルの発売が控えています。
さらに、ビデオゲーム業界における人工知能(AI)の活用拡大が長期的な成長とコスト削減を後押しすると考えられています。ネッド・デイビスの分析によると、生成AIは基本的なコード作成に加えて、音声、音楽、アートワークの制作や、ゲームの多言語対応にも利用可能です。
業界への投資の可能性
ビデオゲーム業界は必ずしも低コストではありませんが、ネッド・デイビスが推奨するGlobal X Video Games & Esports(HERO)のような上場投資信託(ETF)は、来年の予想売上24倍で取引されています。これは、幅広い市場をカバーしETFの22倍を上回りますが、ハイテク株(27倍)ほどではありません。
ただし、2025年には新しいタイトルが次々に発売されることが予想されており、これが成功すれば、業界全体が再び注目を集める可能性があります。
2025年、ビデオゲーム業界は新しいヒット作や技術革新により、投資家にとって魅力的な分野となると考えられています。投資を検討する上で、各企業の新作や市場動向を注視することが重要です。