エヌビディア(NVDA)の株価は12月11日、ここ数日の下落傾向に歯止めがかかり、上昇に転じました。AIチップ市場の規模に関する新たな予測が発表され、同社の長期的な成長可能性に再び注目が集まっています。
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10日にエヌビディアの株価は2.7%下落しましたが、11日の米国市場では3.14%上昇し、終値は139.31ドルとなりました。中国市場管理局による独占禁止法違反の調査開始が報じられたことを受け、一時的に株価が下落しましたが、同社は規制当局の質問に協力する姿勢を示しており、投資家心理は安定を取り戻しています。
中国市場の影響は限定的か
エヌビディアにとって中国市場は比較的小さな位置づけです。同社が最先端チップの輸出を制限されているため、中国からの売上は限定的となっています。このため、中国での調査が株価に与える長期的な影響は限定的であると考えられます。
Navellier & Associatesの創設者、ルイス・ナベリエ氏は、米中間の技術規制が進む中でもエヌビディアは「目先では買い」であると述べています。将来の政策変化に対する期待も含め、エヌビディア株は引き続き投資家に注目されるとみられています。
AIチップ「Blackwell」の生産計画がカギに
エヌビディアの長期的な成長は、AI向けプロセッサである「Blackwell」の生産拡大計画にかかっています。サスケハナのアナリスト、クリストファー・ローランド氏によると、アジアのサプライチェーンに関するデータは建設的であり、2024年第4四半期に初期生産を開始し、2025年第1四半期には量産に入る可能性が高いと予測されています。
このような生産計画は、エヌビディアがAIチップ市場でのシェアを維持するための重要な戦略と位置付けられています。
AIアクセラレータ市場での優位性を維持
エヌビディアは、長期的にAIチップ市場で優位な地位を維持すると見込まれています。ローランド氏は、2030年には同社の市場シェアが約77%に達すると予測しています。また、同市場全体の規模は現在の約1,200億ドルから、10年後には3,350億ドルに拡大すると見られています。
ローランド氏はエヌビディア株の格付けを「ポジティブ」で据え置き、目標株価を180ドルとしています。
他の半導体メーカーも好調
他の半導体メーカーにも好調な動きが見られます。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は1.89%上昇し、ブロードコム(AVGO)は6.63%上昇しました。特にブロードコムは、アップルとAIチップの共同開発に関するニュースを受けて大きく上昇しています。
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エヌビディアや他の半導体メーカーにとって、AIチップ市場の成長は引き続き重要な収益源となる見込みです。投資家にとっては、各社の技術革新や市場動向を注視することが重要です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA