クラウドベースのデータベースソリューションを提供するソフトウェア企業であるモンゴDB(MDB)は、第3四半期の業績発表で市場予想を大きく上回る結果を示しましたが、12月10日の米国市場で株価は急落し、市場の注目を集めています。
第3四半期の業績概要
モンゴDBは2024年第3四半期に売上高5億2940万ドル、1株当たり利益1.16ドルを計上し、ウォール街の予測(売上高4億9770万ドル、1株当たり利益0.67ドル)を大きく上回りました。この好業績により、同社の主力クラウドデータベースサービス「Atlas」は26%の売上成長を記録しました。
株価の急落と市場の反応
好調な業績を発表したにもかかわらず、モンゴDBの株価は10日の午後1時過ぎの段階で15%下落し、297.64ドルまで下がりました。今年に入ってからの下落率は27%に達し、市場の厳しい評価が目立ちます。
ニーダムのアナリストは、この下落の背景として激しい競争環境を挙げています。同社はIBMやオラクル(ORCL)といった老舗企業に加え、アマゾンウェブサービスやマイクロソフトAzureなどの大手テック企業とも対峙しています。
人工知能(AI)分野での遅れ
モンゴDBは「レガシーアプリケーションの近代化とAIの提供」に投資を続けていますが、AI技術をクラウドサービスに組み込む点では、オラクルなどの競合に後れを取っています。このAI分野での立ち位置は、今後の競争力に大きな影響を与える可能性があります。
Atlasの成長鈍化とマクロ経済の影響
第4四半期には、ホリデーシーズン中のアプリケーション利用の減少が予想されており、Atlasの成長ペースが鈍化する見込みです。また、ニーダムのアナリストは、モンゴDBの事業がマクロ経済の影響を受けやすい点を指摘しています。外部の経済的ショックや市場センチメントの変化が株価に大きく影響を与える可能性があります。
経営陣の交代がもたらす影響
モンゴDBの最高財務責任者(CFO)であるマイケル・ゴードン氏が2025年1月末で退任するニュースも株価に影響を与えました。同氏は10年間にわたりモンゴDBを支えてきましたが、後任には財務担当上級副社長のセルジュ・タンジャ氏が内定しています。
ウィリアム・ブレアのアナリストは、この交代が同社の健全性に直結するとは考えていないものの、市場には一定の不安感を与えていると述べています。
株式評価と成長の課題
モンゴDBの株式は、ニーダムによって「買い」と評価され、目標株価は335ドルから415ドルに引き上げられました。一方で、グッゲンハイムは「傍観」の姿勢を維持しています。アナリストは、「モンゴDBの成長は既存アプリケーションの消費に大きく依存しており、さらなる成長加速には情報技術分野への支出増加やAIの追い風が必要」と指摘しています。
まとめ
モンゴDBは、第3四半期の好業績にもかかわらず、競争の激化やマクロ経済の影響により株価が下落しました。AI分野での遅れやAtlasの成長鈍化のリスクを抱えつつも、今後の成長可能性を探る局面にあります。投資家にとっては、引き続きマクロ経済動向や競争環境に注目しつつ、長期的な成長戦略を評価することが重要です。
*過去記事「急騰するモンゴDB株:最新業績報告が示す成長の兆しとは?」