アルファベット（ GOOGL）は第3四半期の収益と売上高を発表し、いずれもウォール街の予想を上回る好調な結果を見せました。このニュースを受けて、時間外取引では一時4%の上昇を記録しました。本記事では、アルファベットの最新決算内容とその背景について詳しく解説します。
売上高と利益の詳細
グーグルの親会社であるアルファベットは、2024年9月30日までの期間において、1株当たり利益を2.12ドルと発表しました。これはウォール街のコンセンサス予想である1.84ドルを上回る結果で、前年同期の1株当たり利益1.55ドルからも大幅な増加を見せています。
また、四半期売上高は882.7億ドルに達し、アナリスト予想の863.9億ドルを上回りました。昨年の同四半期における売上高は766.9億ドルであり、この成長はアルファベットの持続的なビジネス拡大を示しています。
クラウド事業の売上高も著しい成長を遂げており、113.5億ドルで前年から35%増加し、アナリストの予想108.8億ドルを超える結果となりました。また、YouTubeの広告収入は89.2億ドルで、ウォール街の予想である88.9億ドルをわずかに上回りました。
検索事業に関しても、売上高は493.9億ドルで、予想されていた490.2億ドルを上回り、依然としてアルファベットの主要収益源であることを証明しています。
AI技術と競争環境
Googleは20年以上にわたり検索エンジンのトップに君臨していますが、生成AIの急成長によって、新たな競争が生まれています。例えば、OpenAIのChatGPTは急速に成長し、月間ユーザー数は1億人を超えています。また、メタ・プラットフォームズ（META）のMeta AIも市場シェアを奪う存在として注目されています。このような競争相手の台頭により、Googleは検索エンジン市場でのシェアを失うリスクに直面しています。OpenAIのChatGPTやメタ・プラットフォームズ（META）のMeta AIなどのAI技術により、Googleは検索シェアを失うリスクに直面しています。この状況は、長年の検索覇者であるGoogleにとって大きな挑戦となっています。
また、The Informationによると、メタはFacebook、Instagram、WhatsApp向けのAI検索エンジンを開発中であり、今後の競争はさらに激化することが予想されます。
ウェドブッシュのアナリスト、スコット・デビット氏は「検索とAIがGoogleのビジネスに及ぼす影響が注目される」と述べ、アルファベット株の目標価格を205ドルと評価しています。
AIと資本支出への注力
アルファベットは独自の生成AI技術への投資を継続しており、第3四半期の資本支出は130.6億ドルと、アナリストの予想126.6億ドルを上回りました。前四半期には132億ドル、前年には80.6億ドルの資本支出を計上しており、AI技術の強化とインフラ整備に力を入れています。具体的には、AI研究開発センターの拡張や、データセンターの増設、生成AIを活用したGoogle Cloudの機能強化などのプロジェクトに取り組んでいます。これにより、クラウドサービスの性能向上とAIソリューションの提供を強化しています。
CEOのスンダー・ピチャイ氏は、決算発表の中で「AIへの長期的な注力と投資が実を結び、当社のAIツールから恩恵を受ける消費者やパートナー企業が増えている」とコメントし、AI技術の重要性を強調しました。
規制問題と株価の動向
アルファベットは現在、米国地方裁判所判事による「同社は一般検索サービスおよび一般テキスト広告において独占的地位にある」という裁定を含む規制問題にも直面しています。このような規制の動きは、アルファベットの成長に一定の影響を与える可能性があります。
アルファベットの株価は今年に入り21%上昇しており、S&P 500の約25%には及びませんが、それでも堅調な成長を見せています。時間外取引では4%上昇し、市場からの期待の高さを反映しています。
まとめ
アルファベットの第3四半期決算は、売上高・収益ともにウォール街の予想を上回る結果となり、同社のAI分野への投資と技術力が収益拡大に寄与していることが示されました。例えば、AI技術の活用によりクラウド事業の売上高は前年同期比で35%増加し、YouTubeの広告収入も予想を超える結果となっています。また、AIインフラ整備への継続的な投資は、今後のさらなる成長を後押しする要因と考えられます。しかし、生成AIによる新たな競争や規制問題への対処が、今後の成長の鍵となります。Googleの取り組みがどのように市場に影響を与えるのか、引き続き注目が必要です。
＊過去記事 アルファベット GOOGL