現在、投資家たちの注目を集めているのは「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大テクノロジー企業群です。具体的には、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、テスラ(TSLA)といった企業がこれに該当します。その規模と収益性から、これらの企業は市場で大きな存在感を示しています。
しかし、この「1兆ドル超え」のグループ以外にも、時価総額が1兆ドル未満でありながら、売上や利益の成長が期待される企業が存在します。これらの企業は今は目立たないかもしれませんが、将来的に大きな可能性を秘めています。投資情報誌『バロンズ』の記事「The Mag 7 Is So Yesterday. Play These 7 Instead」では、1兆ドル未満のテクノロジー企業に焦点を当て、投資家にとっての重要な機会を紹介しています。
投資家が注目すべき3つの半導体企業
時価総額1兆ドル未満のテクノロジー企業の中には、見過ごされがちな成長株が存在します。特に半導体メーカーは、AIブームの中で重要な役割を果たすと考えられ、注目に値します。ウォール街では数社の大手企業に目が向けられがちですが、その他の企業も無視できません。
『バロンズ』は、株価が6か月前より下落しているにもかかわらず、売上と利益の成長が期待される3社を紹介しています。
ASMLホールディング(ASML)
ASMLは、リソグラフィ技術で世界をリードする企業で、次世代半導体の製造に不可欠なEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を提供しています。これにより、シリコンウェハーに極めて細かい回路を形成することが可能です。米中貿易戦争や輸出規制の影響はありますが、ASMLは引き続き強力な技術基盤を持ち、将来的な成長が期待されています。
*過去記事「オランダの輸出規制拡大がASMLに与える影響は?アナリストは買いを推奨」
マイクロン・テクノロジー(MU)
マイクロンは、主にDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)チップを製造している企業です。AIの進展により、データ処理のために大量のメモリが必要とされる中、マイクロンの技術は今後の需要を大きく支えると見込まれています。AIはメモリチップの再設計や高帯域幅メモリの開発を促進しており、マイクロンはその中心的な役割を果たす企業とされています。
*過去記事「マイクロン・テクノロジー 急騰!AI需要が追い風、ウォール街予想を大きく上回る見通し」
ラム・リサーチ(LRCX)
ラム・リサーチは、シリコンウェハー上に回路をエッチングする装置を提供する企業で、特にメモリチップの製造に強みを持っています。DRAMメーカーが成長を続ける中で、ラム・リサーチの技術への需要も高まると予測されています。市場サイクルの一時的な低迷が、かえって投資機会を提供する可能性もあります。
*関連記事「ラム・リサーチの魅力と成長ポテンシャル:AIチップ市場で輝く半導体製造装置銘柄」
半導体以外にも見逃せない成長企業
半導体業界以外にも、成長の可能性を秘めた企業は数多く存在します。特にソフトウェア分野では、中小規模の企業が今後飛躍的な成長を遂げる可能性が指摘されています。『バロンズ』は以下の企業を取り上げています。
データドッグ(DDOG)
データドッグは、ITインフラの監視ツールを提供する企業です。2024年には前年比で27%の売上成長が予測されており、今後の発展が期待されています。株価収益率はやや高めですが、それでも成長率を考慮すれば依然として魅力的です。市場全体が停滞する中でも、データドッグは引き続き高いパフォーマンスを発揮すると予想されています。
*過去記事 データドッグ DDOG
スノーフレーク(SNOW)
スノーフレークは、クラウドベースのデータウェアハウスソリューションを提供する企業で、成長著しい存在です。株価は今年に入って下落していますが、長期的な成長のポテンシャルは依然として高いです。同社のデータ分析ソリューションは、今後もビッグデータ処理の需要に応え続けると予想されています。
*過去記事 スノーフレーク SNOW
Zスケーラー(ZS)
Zスケーラーは、クラウドセキュリティ分野で急成長している企業です。クラウドセキュリティの需要が高まる中、同社の売上成長も続くと予測されています。株価は過去の高値からは下がっていますが、現在の水準は投資の好機かもしれません。
*過去記事「Zスケーラー株、18%急落の理由!今後の成長見通しに潜む懸念とは?」
オラクル: クラウド事業で再び脚光を浴びる企業
最後に注目すべき企業として挙げられるのが、オラクル(ORCL)です。オラクルは長年にわたりデータベースソフトウェアを提供してきましたが、近年はクラウドコンピューティング事業にも注力しています。ラリー・エリソン会長の指導のもと、クラウドインフラ事業が急成長を遂げ、今後も大手クラウド事業者に対抗し得る存在となる可能性があります。
*過去記事「オラクル株に投資する理由:クラウドとAI需要が成長を牽引」
まとめ
『バロンズ』の記事は、1兆ドル未満の企業にも投資家が注目すべき理由を提示しています。ASML、マイクロン、ラム・リサーチといった半導体企業は、AIの普及に伴い長期的な成長が期待されます。また、データドッグ、スノーフレーク、Zスケーラーといったソフトウェア企業も、今後の市場成長を支える重要なプレーヤーとなり得るでしょう。
市場が短期的なリスクに直面している今こそ、長期的な視点での投資が成功の鍵となります。時価総額1兆ドル未満のテクノロジー企業に目を向け、将来の成長を見据えた投資を検討してみてはいかがでしょうか?