メタ・プラットフォームズ（META）は、テクノロジー市場で目覚ましい成長を遂げています。株価は2022年後半の最安値から5倍以上に上昇しており、「マグニフィセント・セブン」に属する他の銘柄を上回る成長ペースを維持している点で注目を集めています。そして、その勢いは今後も続くことが期待されています。
メタの成長を支えるAI戦略とLlamaモデル
メタが株式市場で目覚ましいパフォーマンスを示している主な理由の一つは、AI（人工知能）分野におけるリーダーシップです。メタはクラウドコンピューティング事業を有していないものの、オープンソースのAIモデル「Llama」のリリースにより、AI競争で確固たる地位を築いています。これは、マイクロソフト（MSFT）が支援するOpenAIやグーグルのAIモデルと競合しており、メタのAI技術が次世代のAI市場で重要な役割を果たすと期待されています。
Llamaは特に自然言語処理に強みを持つAIモデルであり、他の競合と比較しても高い精度と柔軟性を誇ります。さらに、メタは独自のAIチップ開発も進めており、将来的にはエヌビディア（NVDA）のようなチップメーカーからの購入コストを削減できる可能性が指摘されています。
AIがメタの広告ビジネスを強化
AI技術を導入するだけでは、競争優位性を確立するには不十分です。投資家やウォール街が特に注目しているのは、メタの広告ビジネスにおけるAI活用の実効性です。メタの広告事業は「Click to Message」や「Advantage+」、そして「Reels」といった機能の拡充により大きな成果を上げており、AI技術がこれらのツールをさらに強化しています。
UBSのアナリスト、スティーブン・ジュ氏によると、メタは2022年から2023年の間にこれらのツールを駆使して回復を牽引してきたことが明らかになっており、今後もこれらのベクトルから広告予算の増加が期待されています。AIによるデータ分析が広告配信の精度を高め、広告主にとってより価値の高いサービスを提供できるため、メタの収益増加が見込まれています。
ハードウェア市場での躍進：スマートグラスとメタバース
メタはまた、ハードウェア市場でも着実に進展を遂げています。同社のリアリティ・ラボ部門は、仮想現実（VR）やメタバース技術に注力しており、特にスマートグラス「レイバン ストーリーズ」では一定の成功を収めています。このデバイスは、投資家の期待を超える性能を持ち、メタバース構想に対する市場の見方が徐々にポジティブに変わりつつあります。
また、メタはアップル（AAPL）のヘッドセット「Vision Pro」からの挑戦を受けながらも、低価格帯のデバイスにフォーカスすることで、消費者の広範な層にアプローチしようとしています。これにより、アップルとは異なる市場セグメントで優位性を確保しようとする戦略が伺えます。
メタの株価動向と今後の見通し
メタの株価は現在590ドルあまりで取引されており、ファクトセットによるとウォール街のアナリストによる平均目標株価は597.24ドルです。AI技術や広告ビジネス、そしてハードウェア市場への進出により、メタの株価は今後も堅調な推移が期待されています。
AI技術を活用したビジネスの拡大により、メタは単なるSNS企業から、次世代のテクノロジーリーダーへと進化を遂げようとしています。この成長を支えるのは、LlamaモデルをはじめとするAI技術の進化と、それに連動する広告事業の強化です。今後、メタのAI戦略とハードウェア開発がどのように市場に影響を与えるのか、引き続き注目されます。
＊過去記事 メタ・プラットフォームズ