エヌビディア(NVDA)が、2024年6月5日、株式市場で歴史的な快挙を達成しました。同社の時価総額は初めて3兆ドルを超え、これはアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)に次ぐ米国企業として3社目となる快挙です。5日の終値は前日比5%上昇し、時価総額は3兆120億ドルとなってアップルの3兆30億ドルを上回り、世界2位の時価総額の企業となりました。この背景には、次世代人工知能(AI)チップへの期待が大きく影響しています。
AIチップの需要急増と株価の急騰
エヌビディアは、次世代AIチップの開発と販売において卓越したパフォーマンスを見せています。テスラ(TSLA)やヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の幹部も、エヌビディアをAIブームにおける支配的なサプライヤーとして評価しています。
5日、エヌビディアの株価は5.16%上昇し、1,224.40ドルで取引を終えました。前日の4日には1.3%の上昇を見せており、同社の株価はここ数日で終値の過去最高値を更新しています。7日には1株を10株に分割する予定です。
ジェンスン・フアンCEOの発表と将来展望
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、2025年にリリース予定の新チップ「Blackwell Ultra」と2026年の次世代プラットフォーム「Rubin」の計画を発表しました。これが株価上昇の大きな要因となっています。
エヌビディアの時価総額の上昇はこの1年で特に加速しており、昨年6月に1兆ドルを超えるまで25年近くかかりましたが、その後わずか9ヵ月で2兆ドルを突破しました。さらに、2兆ドルから3兆ドルに達するまでに要したのはわずか66取引日、つまり約3ヵ月強です。これに対し、アップルは同じ過程に719日を要しました。
テスラとHPEによるエヌビディアチップの需要
エヌビディアのチップに対する強い需要はさらに顕著です。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、テスラが今年30億ドルから40億ドル相当のエヌビディア製チップを購入すると予想しています。これにより、テスラのAIトレーニング・インフラ構築コストの約3分の2を占めることになります。
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は、エヌビディアの現行世代H100チップを搭載したAIサーバーの需要が旺盛であると述べています。
競合他社の動向
エヌビディアの市場シェアを奪おうとする競合他社も現れています。直近では、クアルコムが支援する台湾のAIチップ新興企業Kneronが「KNEO 330」という新製品を発表しました。この製品は、エネルギー集約型のエヌビディア製チップを搭載するクラウドベースのAIモデルとは異なり、低消費電力での使用を可能にする設計となっています。
このように新製品の開発は進行していますが、AIチップ市場で8割のシェアを誇るエヌビディアの製品に直ちに対抗できるものは見当たらず、しばらくの間はエヌビディアの牙城を揺るがすことは難しいと予想されます。
エヌビディア株の今後
エヌビディアの株価は今年に入ってから147%上昇しており、これは同期間のS&P500指数の上昇率12%、ナスダック総合指数の上昇率14%と比較しても際立っています。アナリストの大多数が、これからもエヌビディアの成長は続くと予想しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA