デル・テクノロジーズ(DELL)は5月20日、2024年後半から発売予定の新しいAI対応PCとエヌビディアチップサポートの新サーバーを発表しました。この発表は、ラスベガスで開催されたイベントで行われ、人工知能(AI)サーバー市場での競争力を維持し、回復が予想されるPC市場に向けた準備を整えることを目的としています。
クアルコムのプロセッサ搭載のAI対応PC
デルの新しいAI対応PCは、クアルコム(QCOM)のSnapdragon Xシリーズチップを搭載しており、特に複雑なAIタスクの処理に特化したニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を備えています。新型PCのうち2機種は20日から予約可能で、残りの3機種は数カ月以内に発売予定です。
エヌビディア最新チップ対応の新サーバー
さらに、デルはエヌビディア(NVDA)の最新Blackwellチップと互換性のある新しいサーバーラインナップを発表しました。これらのサーバーは液冷技術を提供しており、高消費電力が問題となる空冷と比べて効率的です。デルのインフラ・ソリューション・グループのプレジデントであるアーサー・ルイス氏は、これらのエヌビディアベースのサーバーが同社史上最も急速に成長している製品であると述べました。
AIサーバーブームと市場予測
調査会社IDCによると、AIサーバーへの支出は2024年に330億ドルを超えると予想されています。このブームについて、デルはAIサーバーへの投資が企業の従来型サーバーへの支出に大きな影響を与えないと見ています。AI技術の導入が初期段階にある比較的小規模な企業からの支出が多いためです。
マイクロソフトの「Copilot+」PCとの協力
この発表会は、マイクロソフトの年次イベント「Build」と同日に開催され、サティア・ナデラCEOは、デル、クアルコム、インテル(INTC)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と協力して製造される「Copilot+」PCを紹介しました。
株価と市場への影響
この発表により、クアルコムの株価は一時2%近く上昇し、過去最高値を記録しました。20日の終値は2.72%安の145.45ドルでしたが、今年に入ってから株価は90%上昇、過去1年では206%も上がっています。デルは5月30日に四半期決算を発表する予定であり、アナリストはAI PCとAIサーバーの両方が同社製品の需要に貢献すると予想しています。
まとめ
デル・テクノロジーズの新しいAI対応PCとエヌビディアチップサポートのサーバーは、AIサーバー市場での競争力を維持し、PC市場の回復に備えるための重要な一歩です。クアルコムやエヌビディアとの協力により、デルは先進的な技術を提供し続けることで、市場での地位をさらに強化しています。
*過去記事「デル・テクノロジーズ:AIの波に乗る株価上昇の真相」