なぜアップル株は減収減益でも上昇したのか?自社株買いが鍵

アップル(AAPL)が5月2日に発表した2024年3月期決算。売上高は前年同期比4%減の907億5000万ドル、純利益は2%減の236億4000万ドルという数字が明らかにされました。特にiPhoneの売上は10%減の460億ドルに留まりましたが、翌日の3日の市場で同社の株価は意外にも6%の大幅上昇を見せました。この記事では、アップルの株価がなぜ大きく跳ね上がったのか、その理由を詳細に分析します。

自社株買いの戦略的影響

3日の市場でアップル株が急騰した主な理由は、取締役会が追加で1100億ドルという過去最大規模の自社株買いを承認したことにあると言われています。自社株買いは企業の一株当たり利益(EPS)を増加させる効果があります。具体的には、市場から株式を買い戻すことで流通している株式数を減少させ、利益をより少ない株数で分けることになります。

EPSへのポジティブな影響

たとえば、企業が1,000ドルの利益を出しており、株数が100株の場合、EPSは10ドルです。もし企業が株数を10%削減した場合、株数は90株となり、EPSは11.11ドルに上昇します。これは11%の増加に相当します。アップルの場合、過去10年間で株式数は37%減少しており、これがEPSの59%増加に繋がっています。この効果は、特に減収が見られる最近の四半期においても、アップルにとって余剰資金の効果的な活用方法となっています。

長期的な視点

自社株買いの戦略は短期的な株価のサポートだけでなく、長期的な株主価値の向上にも寄与しています。ファクトセットのデータによると、アップルは過去10年間で利益を着実に増加させており、その間に株式数を大幅に減少させることで、株主に対する一株当たりの価値を高め続けています。このような財務戦略が、アップルがS&P 500インデックスの中で高い投資収益率を達成する一因となっています。

まとめ

アップルの最新四半期決算は表面的には失望を招く要素の多い数字を示していますが、自社株買いのような戦略的決定がなぜ重要かを理解することで、その株価の動きには合理的な説明がつきます。このような分析を通じて、アップルの経済的健全性と長期的なビジョンが見えてきます。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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