エヌビディア（NVDA）がAI分野で急速に成長している現在、多くの投資家がこの株がバブル状態にあるのではないかと懸念しています。しかし、その根底にある実力と市場の需要を考慮すると、その心配は杞憂に終わるかもしれません。この記事では、エヌビディアの株価が急騰する理由と、AI技術の今後の展望について詳しく解説します。
エヌビディアのAIに対する強固な基盤
エヌビディアは、もともとはPC用グラフィックスカードの製造で知られていましたが、現在ではAI技術の先駆者としての地位を築いています。AIがさまざまな産業で生産性を向上させる例は枚挙にいとまがありません。たとえば、メタ・プラットフォームズ（META）の報告によれば、AIツールの導入により広告キャンペーンの効率が32％向上したそうです。また、ベイン・アンド・カンパニーによると、製造業におけるAIの統合は、将来的に30%から50%の生産性向上が期待されています。
また、投資銀行のUBSは、AIが今年の生産性上昇率を2.5％押し上げ、連邦準備制度理事会（FRB）の予測値1.5％を上回ると見ており、今後3年間で、AIが17％の生産性向上をもたらすと予想しています。
これらのデータは、AI技術が単なる一過性のブームではなく、長期的な成長の基盤となることを示しています。AIモデルを実世界に導入するには、何百万、何十億ものパラメーターを用いて学習させる必要があります。これらのモデルは大規模言語モデル（LLM）と呼ばれ、製造業から自動車、クラウド・コンピューティングに至るまで、さまざまな業種で導入されています。エヌビディアのGPUは、AIモデルのトレーニングに不可欠であり、その需要は今後も高まることが予想されます。
エヌビディアの競争力と将来の展望
エヌビディアのフラッグシッププロセッサであるH100は、業界で非常に高い評価を受けており、AIモデルのトレーニングに最適な解決策です。そのため同社はAI半導体市場で90％を超える高いシェアを獲得しています。
今年後半に発売されるB200 ブラックウェル・グラフィックスカードは、H100の後継となり、H100の7倍から30倍の性能向上を実現し、消費電力を最大25倍削減するとエヌビディアは主張しています。
この性能向上は、ブラックウェルがTSMCとして知られる台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング（TSM）のカスタム4ナノメートル（nm）ノードを使用して製造されると伝えられていることから、驚くべきことではありません。現在のHopperベースのH100はTSMCのカスタム5nmプロセスで製造されていますが、プロセス・ノードのサイズを縮小することで、TSMCは、H100の800億トランジスタと比較して、2080億トランジスタを新しいチップに搭載することを可能にしました。
また、エヌビディアは、TSMCとのパートナーシップを通じて、より進んだ2nmプロセス技術の開発を進めており、これがさらなる性能向上を可能にします。2025年に量産が可能とされるTSMCの2nmチップを使うことで、エヌビディアはさらに強力なAIグラフィックス・カードを販売することが可能となります。
これらの技術革新は、エヌビディアがAI半導体市場でのリーダーとしての地位をさらに強化することに寄与することが期待されます。
株価の将来性
エヌビディアの売上は今後5年間で年平均35%の成長が見込まれ、株価は現在の水準から85%以上の上昇が予想されます。過去に大幅に上昇したことは事実ですが、この上昇は会社の売上と利益の増加に裏付けられています。UBSやレイモンド・ジェームズなどの分析によると、エヌビディアの売上は今後も安定して増加すると見られており、これが株価をさらに押し上げる可能性があります。
まとめ
エヌビディアの株価上昇は、単なる投機や市場の興奮ではなく、実際の売上成長とAI技術の進化に裏打ちされています。AI技術への需要増加が予想される中、エヌビディアの製品はさらに重要性を増すことでしょう。そのため、投資家にとっては、エヌビディアの株に注目し続けることが、有望な投資戦略と言えます。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA