近年、人工知能（AI）技術の進化がビジネスのあらゆる面で影響を与えています。特に、クラウドコンピューティングの分野では、AIの応用が新たな成長の源泉となっています。この記事では、ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ダン・サーモン氏による、アマゾン（AMZN）のAI戦略とその将来性に関する分析を紹介します。
アマゾン・ウェブ・サービス（AWS）の成長予測
サーモン氏によれば、AI関連のワークロードは、2025年にアマゾン・ウェブ・サービス（AWS）の売上の21％を占め、その規模は約269億ドルに達すると予測されています。この数値は、2027年までに416億ドルに増加し、複利ベースで54％の成長を見込んでいます。特にAIモデルのトレーニングと推論ソフトウェアの分野では、それぞれ年平均複利成長率が56％、51％と高い成長が予測されています。
アマゾンの独自半導体への投資
アマゾンは、自社開発のAI半導体（学習モデル用のTrainiumと推論ワークロード用のInferentia）への投資を強化しています。サーモン氏は、これらの半導体からの売上が2027年には43億ドルに達し、同期間の複利成長率が144%になると予想しています。これは、アマゾンがエヌビディア（NVDA）などの外部チップメーカーに依存せず、独自のハードウェアでAI関連インフラの収益を伸ばしていく戦略を示しています。
グーグル・クラウドの売上成長
アナリストは、グーグル・クラウドでもAI関連のワークロードが急成長しており、2025年には全体の売上の38%を占めると予想しています。AWSと比較してこの高い割合は、従来のワークロードを扱うグーグルの規模が小さいことを反映していると、サーモン氏は予測の詳細を記したリサーチノートで述べています。同アナリストは、グーグル・クラウドが2027年までに363億ドルの生成AI関連の売上を生み出すと予想しています。
生成AIが株価の上昇要因に
AWSをはじめとするクラウドコンピューティング・プロバイダーの成長は、顧客が「最適化」プロセスに取り組み、クラウド企業への急成長した依存を削減する方法を模索したため、過去2年間で大幅に鈍化しました。この鈍化は12月期にピークに達したようです。
しかし、「AWSの売上成長が再加速することが、2024年のアマゾン株の上昇要因になる可能性が最も高い。顧客の最適化が一段落したことで、生成AIサービスがますます売上を押し上げると予想する」とサーモン氏は生成AIがアマゾンの株価を一段と引き上げる要因になると分析しています。
まとめ
AI技術の急速な発展は、クラウドコンピューティング市場における主要企業の戦略に大きな影響を与えています。特にアマゾンは、AWSの成長をAIによって加速させ、独自の技術開発により競争優位性を高めようとしています。ダン・サーモン氏の分析によると、AI技術の進展がアマゾン株価の上昇を支える重要な要因になり得るとのことです。この分析は、投資家にとって、今後の戦略策定において重要な示唆を与えています。
＊過去記事はこちら アマゾン AMZN