台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング(TSMC)は1月18日、2024年12月期の決算報告を行いました。同社は2024年の売上成長率が少なくとも20%に達すると予測しており、この成長率は、半導体市場全体の売上予想成長率の2倍以上になります。しかし、一方でTSMCは同時に短期的なスマートフォン市場の低迷に注意を促しています。
TSMCの売上高予想と市場動向
TSMCは2024年の通年売上高が20%台前半から半ばの伸びを予想しており、これは10%程度の成長を見込む半導体市場全体の回復よりも優れています。同社は、電子機器需要の回復に寄与し、ハイエンドチップ製造市場でのリーダーシップを維持しています。TSMCは、アップル(AAPL)のiPhone用チップやエヌビディア(NVDA)の人工知能チップなど、多くの重要な製品を製造しています。
株価の反応と市場の見方
決算発表を受け、TSMCの米国預託証券(ADR)の18日の終値は10%高の113.03ドルと大幅に上昇しました。エヌビディアとアップルの株価もそれぞれ2%と3%上昇しました。この動きは、市場がTSMCの業績見通しに対して楽観的であることを示しています。
スマートフォン市場の低迷とその影響
TSMCは、第1四半期のスマートフォン市場の低迷を警告していますが、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーションの需要の強さがこれを一部相殺すると述べています。このバランスが、同社の堅調な業績を支える重要な要因となりそうです。
投資と将来の展望
TSMCは2024年の設備投資額を280億~320億ドルと予想しており、特にアリゾナ州の製造拠点への投資が注目されています。しかし、アリゾナの2つ目の工場で生産の遅れが予想されており、これは、将来のチップ供給における潜在的なリスク要因となる可能性があります。
アナリストの見方
ジェフリーズやニーダムのアナリストは、TSMCの見通しに対して肯定的な見方を示しています。特に、HPCやAIアプリケーションへの注力が、将来の成長の鍵となると考えられています。ニーダムのアナリスト、チャールズ・シー氏はTSMCのADRに対する「買い」の格付けと目標株価115ドルを据え置いています。
まとめ
TSMCの最新の業績報告は、同社が今後も半導体市場でのリーダーシップを維持することを示唆しています。スマートフォン市場の低迷は一時的な懸念事項ですが、HPCやAIアプリケーションへの需要の増加が、長期的な成長を支えると予想されます。