メディアは政治選挙、中央銀行の動き、景気の拡大・縮小といった短期的な出来事に焦点を当てますが、長期投資家にとってこれらはほとんど「ノイズ」に過ぎません。220億ドル規模の資産を運用するアルジャー・グループ・ホールディングスの投資マネージャーは、富の創造はイノベーションによってもたらされると信じています。
イノベーションの重要性
イノベーションは生産性を高め、国内総生産を向上させ、生活水準を押し上げることで、企業や消費者に真の価値を提供します。選挙や金利の上昇・下降に関わらず、イノベーションは長期的に投資家に富をもたらすものです。
アルジャーの教訓
アルジャーは60年以上の歴史を持ち、不況や成長不安、そして好況を経験しています。この経験から得た教訓は、イノベーションは景気変動に関係なく成長し続けることであり、強力な競争優位性は市場シェアの拡大につながることです。これは、投資家にとって、マクロ経済環境に関係なく価値を増大させる革新的企業に投資することが重要であることを示しています。
人工知能(AI)の台頭
ビル・ゲイツは、人工知能(AI)を「パソコンやインターネットと同じくらい重要だ」と述べています。AIはビジネスや投資に大きな影響を与えるメガテーマです。アルジャーによると、AIテクノロジーは、デジタル・トランスフォーメーションの重要性とコスト削減の手段として、「必要なもの」となる可能性があります。
AI関連企業への投資
AIサービスのインフラを提供する「イネイブラー」企業への投資は魅力的です。例えば、半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)、マーベル・テクノロジー(MRVL)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)はAI業界の成長を支える重要な役割を果たしています。また、データセンター関連企業のシュナイダーエレクトリックやバーティブ・ホールディングス(VRT)も、AIの高い電力需要と冷却問題に対応する技術で重要性が増しています。
データセンターがAIの需要増に対応するために拡大するにつれ、送配電不足が重要な問題となる可能性があります。このため、送電網の近代化が必要になる可能性があり、電力会社や商業顧客と協力する電力管理会社や電気サービス会社が恩恵を受ける可能性があります。イートン(ETN) のような多角的なグローバル電力管理会社は、増大する電力需要に対応するために努力しており、その過程で株主に魅力的なリターンをもたらす可能性があります。
データの役割
AIは優れたデータに依存しており、AIがロケット船なら、データはその燃料に例えられます。テキストメッセージ、電子メール、ソーシャルメディア、ウェブページ、ビジネス文書などの非構造化データはすべて、生成AIのようなソフトウェア・プログラムがアクセスできる必要があります。データベース管理を支援するモンゴDB(MDB)のような企業は、デジタル・トランスフォーメーションのためにデータという重要な燃料を提供しており、魅力的な投資先となっています。
様々な経済状況に対応する投資戦略
アルジャーは、それぞれの市場でシェアを拡大する力のある企業に投資することで、経済状況の変化に対応できるポートフォリオを組むことを目指すべきだと考えています。半導体メーカー、電力管理会社、データベース・プロバイダーなど、AIを実現する企業は、世界中の顧客に革新的な製品やサービスを提供している企業の良い例かもしれません。これらの企業は経済環境が良くても悪くても成長できるため、投資家はノイズを無視して長期的な資産形成に集中することができます。
*過去記事はこちら
エヌビディアNVDA
「マーベル・テクノロジー:決算から見えるAIの可能性と市場の新たな展開」
AMD
バーティブ・ホールディングス(VRT)「エヌビディアだけじゃない!AI市場で躍進する注目の2銘柄を徹底解説」
イートン(ETN)「データセンター市場の勢いが株価に直結!投資家が注目すべき4つの銘柄とは?」
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